主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

2017-01-01から1年間の記事一覧

【母、年の瀬の反省】

2017年12月31日 施設に行くと、いつもの席に母がいなかった。 「部屋で横になっているのかな?」 と思って向かうともぬけの殻──。 「リハビリか?」 「お風呂か?」 「席替えがあったのか?」 ──いろいろと可能性を想像しながら衣類の整理をして大広…

【歳をとったら身なりをきちんとせなあかん】

2017年12月31日 いつごろからか思い出せないが、居間に常設されたアイロン台。家事の負担を減らすために「アイロンだけはかけない」と去年までは固く誓っていたのに、遂にその誓いを打ち破り、いまではもう主夫を飛び越え、完全に「ママ化」している…

【過ぎたことは忘れろ】

2017年12月30日 年末年始のための作り置きを終えて、半年に一度の換気扇フィルター交換を済ませた。 この5年、フィルターを交換する度、目撃することができなかった母が事故を起こした瞬間のことを想像しては苦しくなっていたが、時間は、ゆっくりと…

【年越し準備の主夫ロマンティック】

201712月29日 クラクラの身体に鞭打って、夕方から主夫ロマンティックに変身。どうにか年越し準備を終えた22時(嘆息) #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン6 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #老人保健施設 #入…

【通院納め──ボーダーライン】

2017年12月28日 年に一度の緑内障検査で、今年の通院納めとなった。 肝心の検査結果は、「右目=ボーダーライン」の判定。 眼圧がで正常で一部に初期の緑内障の疑いがある「正常眼圧緑内障」との診断。これまでの倍のペースで、一年に二度の検査を進…

【音の棲むところへ】

2017年12月27日 先週の歯科受診付添いは、久々の遠出と全介助が必要となってから初めての一人きりでのサポートだったため、戸惑いと焦りがぼくを手間取らせ、予想以上の疲労を招いた。 今日は、先週の失敗も踏まえて落ち着いて介助できたが、母を施…

【寂しさを温めるための記憶の一片になるように】

2017年12月27日 母の歯科治療、第2弾。 ──ただいま受診中── 道中、先週と同じ曲を繰り返し聴きながら、1時間ほどのドライブ。会話の記憶はなかなか維持できなくなっているけれど、歌はまだ憶えているようで、手を叩きながら楽しそうに声を合わせて歌…

【慌ただしい午後に出逢った木】

2017年12月26日 珍しく早起きして、朝一番の時間にしか上映していない映画を観に行った。 出勤ラッシュから少しだけ遠のいた時間に電車に乗っていると、母を預けている施設から着信があった。下車して伝言を聞くと、母の義歯にトラブルがあったらし…

【病院・病院・また病院】

2017年12月25日 今月は、自分と母の付添いで病院へ来てばかり。 今日は、胸元に残った小さなケロイド痕治療のため大学病院へやってきた。治療にあたり、とても遠回りしてこの病院にたどり着いてから3年。 ──最初からここにめぐり合っていれば── と悔…

【プロジェクト歯科付添い】

2017年12月20日 午前中、病院にてインフルエンザ陰性判定を受けたあと、午後は予定通り、母を横浜の歯科医院まで連れていった。 施設から母を自家用車に乗せておよそ1時間。ますます身体の自由が効かなくなった母の引率は、想像以上の疲労を招く結果…

【La Jetée|ラ・ジュテ】

2017年12月19日 12月19日──。 亡き父の誕生日。存命であれば、たぶん今日で90歳を迎えていたはず。 気がつけばもう、生きていた時間よりも、不在の方がながくなっている。時間が忘れさせたというより以前に、生後8ヶ月のときに先立たれたぼくには、…

【いま、この胸の奥にあるような気持ち】

2017年12月18日 インフルエンザによる発熱も、誕生日だった昨日も朝から平熱に戻り、その後、変動はない。まだ少し頭がふらつくけれど、日常に早く戻るためにも少しは身体を動かそうと、「また」、料理をしてみた。 下拵えから始めておよそ2時間──。…

【ながく生きろ】

2017年12月17日 父の墓参り──。 例年、真夏の命日とぼくの2日後だった父の誕生日に墓前に向かうことにしていたが、インフルエンザ・キャリアは人と接触できないため(熱が下がっても数日間はウィルスが残っている可能性がある)、「人のカタチをして…

【バースデイ・スペクタクル】

2017年12月17日 ヨーグルト雲海の波間に浮かぶ「おはぎ山」山頂には、永年苔の大葉が根を張り、その頂きからは、西の羊羹ビルの谷間に沈む生ハム西陽を望むことができる。 その陽光は雲海を触媒にして蜂蜜ビームを神々しく広げてゆく…。 母譲りの一…

【47回目の誕生日】

2017年12月17日 The 47th Happy KAWASEmas! 47回目の誕生日。最新の処方薬の効果か、インフルエンザによる高熱も去り、平熱に戻る。 Happy Birthday to myself(イエイ) #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン6 #kawase…

【近すぎて見えなくなっていたこと】

2017年12月16日 インフルエンザ改善のための吸引薬を摂取してわずか3時間、もう薬が効いたのか、身体はだいぶ楽になってきた。 ならば元気なうちに、と、向こう2〜3日分の食事を作りおくことに──。 この冬は、大根とキャベツ鍋をよく食べている。母…

【そんなポジティブはいらない】

2017年12月16日 「ポジティブ」といっても、これはもちろん、喜ばしくない方の意味だ。 インフルエンザ陽性判定を受けたあと、薬局で処方された吸引薬をその場で飲み干す。少し複雑な手順ゆえか、飲み方を指示した動画も用意されていてしっかり確認…

【初めてのインフルエンザ】

2017年12月16日 午後、熱も下がり始めて動けるようになったので、母のかかりつけでもある近くの病院へ検査を受けにやってきた。 待合にて診察を待つたび思いかえす。病院に対する苦手意識が薄れていったのも、何度も何度も母に付き添って病院に足を…

【そろそろ誰かを頼るとき、か?】

2017年12月15日 昼間の悪寒から一転、急に高熱が出始めた夜──。 病院救急に電話で確認すると、 「まだ熱が出始めてから時間が経ったいないので、インフルエンザかどうか正確な判定ができない」 と。 明日の朝の様子をみて、主治医に連絡を入れよう。…

【叶えてあげられなかったこと】

2017年12月11日 昨日、お招きいただいた結婚披露宴──。 同世代のラッシュはとうの昔に終わり、ひと世代下の同志たちもその多くは自分の家庭を育んでいる。 「そろそろ結婚式にお招きいただくこともなくなるなぁ」 と、ぼんやり思い浮かべることさえ…

【愛しい時間】

2017年12月9日 咳が止まらない──。 日中はもちろんだが、特に寝入りと目覚め前になると、酷くなる。他者から打撃を加えられているのかと錯覚するほど激しく身体に衝撃を覚える咳が、ながいときで数分間続く。 おかげでここ数日、もう体力的にも耐えら…

【封じた言葉】

2017年12月7日 こういう情景を目の当たりにすると、つい考えてしまう。 ──なぜこんなにも美しいと感じるのか?── この景色は自然ではない。人が創り出した物体とこの地球が生み出した現象の対比だ。それを「ぼく」という謎の多い物体が受け止めている…

【いつもの笑顔】

2017年12月6日 風邪の具合がだいぶ治まってきたと思ったら、今度は目に問題発生。痛みを伴う症状だったので、午前中にかかりつけの眼科へ向かった。 「点眼しながら1週間、左眼の視力を観察してください。もしも変化があったらすぐに再診を」 ──と。 …

【鏡のなかの鏡】

2017年12月2日 Arvo Pärt “ALINA” (1976) ECMレーベルのコンセプトを表象する「静寂の次に美しい音楽」。それは、今夜のぼくの心を映すよう。通りで「鏡のなかの鏡」と題されているわけだ。 アレクサンダー・モルター「Pärt: Für Alina」を Apple Mus…

【ひとりにさせないおまじない】

2017年12月2日 寒さ厳しくなるこのごろ、きっと今日のこの森は、もっと色づいていることだろう。 昨日の朝一番で、ケアマネジャーから電話があった。母が入所している施設に併設された特養老人ホームの見学をお願いしていたから、そのことだろうと直…

【ぼんやりさん】

2017年12月1日 「咳や熱を抑えるのに、これだけの錠剤が必要なのか?」 しかも、そのいずれも結構な大粒。呑み込もうとすると腫れた喉に少し引っかかる。さらに、口に含んだ水が足らないのか、食道にもつかえるときもある。 健康維持のため常用してい…

【晩年】

2017年11月30日 冷え込みが厳しくなってきたこの頃、病院付添いの帰り道にふと視線を逸らすと、こんなに綺麗な紅葉がすぐ隣にあることに気づいた。 ──うつむき加減で歩いていたら、側にある美にさえ気づけない── そんな当たり前のことを、植物はいつ…

【無事でよかった──今日も、あの日も】

2017年11月30日 なんだかこうしてみると、イチゴのショートケーキに見える。 「歳を取ったら明るい色を着なあかん」 若い頃からよくそう口にしていた母。それに倣って、ぼくが服を選ぶようになってからも派手な色を纏わせている。 寒色系でも鮮やか…

【あといくつ季節を過ごせるだろう?】

2017年11月29日 昨夜は、どうにも咳が止まらず、よく眠れないまま朝を迎えた。 咳払いを繰り返しながら疲れた身体を起こして床から抜け出し、どうにか居間のソファーに腰掛けた。白湯をゆっくりと飲みながら、最近また拾い読みしている《137億年の物…

【夢中ということさえ知らずにいたあのころのように】

2017年11月28日 未だ微熱にうなされる午後、随分と久しぶりに抹茶入り玄米茶を淹れた。 この2年近くはコーヒー中心になっていたし、たまに味わう日本茶はいただき物の八女茶だった。それをぜんぶ飲み干して以来だから、いつが最後だったのか思い出せ…