主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【ひとりにさせないおまじない】

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2017年12月2日

 

寒さ厳しくなるこのごろ、きっと今日のこの森は、もっと色づいていることだろう。

 

昨日の朝一番で、ケアマネジャーから電話があった。母が入所している施設に併設された特養老人ホームの見学をお願いしていたから、そのことだろうと直感した。話の内容には間違いなかったが、残念な知らせだった。

 

 

──区域内の方からの入所希望に限定された──

 

 

相談員の方に確認して下さったようだ。

 

入所希望だけでも提出させてもらえたら…そう思って見学のお願いをしたのだけれど、こればかりは施設の方針ゆえ、わがままはいえない。

 

現在の制度では、入所希望を出してから、本人の身体の状態や家族構成、在宅介護の状況、緊急性などが総合的に判断され、地域内の待機リストに入り、その順位が決定される。別件で調べものをしていたら、見学予定だったその施設には、既に1000人を超える待機リストがあると公表されていた。

 

 

──「区域内の特養にすべて申し込む」──

 

 

ケアマネジャーがそう勧めて下さったこともうなづける。

 

26年前、母がまだ60代前半のころ、御縁があってこの土地に移り住んできた。当時暮らしていた超都心部である新宿区には、果たしてどれくらいの施設があるのだろうか? あるとしても数は限られる。

 

当然、そこに居住できる身分ということは、(実際にそうではないとしても)所得が多いと見込まれるから、高額な介護付き老人ホームに移り住む選択になるのかもしれない。

 

そんな心配など微塵もしていなかったころにここに移り住んだのは、今振り返ると実に幸運と言える。都心部に比べたら施設の数は少なくはない方だろうし、家からのアクセスも遠くても車で30分程度。これが新宿からとなると、自ずと足も遠のいてしまう。

 

 

──母はやはり、父に守られているのだろう──

 

 

今までひとり暮らしをしたことがないのもそう。

 

父は旅立つ前に、ぼくを母のそばに残していった。きっとずっとそばにいられるように、甲斐性が育たぬおまじないをかけて。

 

施設に移っても、母は人気者だ。どこへいっても、ひとりじゃない──。

 

 

希望は届かなかったけれど、これで前へ進んだときに無用な後悔はなくなった。

 

 

──ここに受け入れてもらえたらもっと良かった──

 

 

そう思わずに済むから。あとは丁寧に、施設の内見を進めてみよう。箱の作り以上に、働く方のことをよく知りたい──。

 

馴染み始めたと思ったら、また次へ…不思議と落ち着くこの森とも、じきにさよならすることになりそうだ。

 

 

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