主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

【真・孤独のラザニア(2)──亡き婚約者の生誕前夜祭】

2022年11月17日⁡2019年のクリスマスに初めて取り組んだラザニア作りからまもなくしてパンデミックが訪れるだなんて……。⁡⁡──あれから三年──⁡⁡玉ねぎ、にんじん、セロリを微塵切りにしたものと、牛と豚の合い挽き肉を、にんにくと生姜で炒めて、塩…

【真・孤独のラザニア(1)──亡き婚約者の生誕前夜祭】

2022年11月17日⁡人生でラザニアを自ら作る日が来るだなんて、夢にも思わなかった──かつてここに、そう記したことを憶えている。⁡小学生の頃、友人のお母様に連れられて、渋谷パルコで初めて食べたのが、ラザニアに関する最初の記憶だ。食べたラザニ…

【停まっていた時を動かす──映画《土を喰らう十二ヶ月》から思い出したこと(2)】

2022年11月11日⁡映画の原案となった水上勉のエッセイ《土を喰らう日々──わが精進十二ヶ月──》は、生前、彼女が熱心に読んでいたものだった。彼女の没後、「遺品として何か持ち帰ってください」と伝えられ、ぼくは彼女の部屋から何冊かさの本を選んだ…

【停まっていた時を動かす──映画《土を喰らう十二ヶ月》から思い出したこと(1)】

2022年11月11日⁡「1」が並ぶめでたい気分の日──今から十ヶ月前の「1」が並んだ日には、「果たして今日がめでたい日なのか?」と、自問自答を繰り返していたことを、今でもたびたび思い返す。⁡その日は、急逝した婚約者が遺した意志が叶えられた日…

【小さな森が消えた日──あの日の黒猫との再会】

2022年11月13日⁡今、見たことのない景色を見つめている。ぼくの居場所は未だ変わらないままだ。しかし目の前に広がる景色は、初めて望む〈新しい景色〉へと移り変わった。⁡それは、待ち望んだ景色とはまったく違うけれど、〈あの日〉から願い続けて…

【ひとりぼっちの再会記念日(2)】

2022年11月3日⁡ちょうど1年前の11月3日午後、直前に受けたPCR検査が陰性を示したこと確認して、予定通り向かうことを彼女に伝えた。その夜、彼女の仕事終わりの時間を目指して、ぼくは東京から車を走らせた。車移動なら、道中、人との接触を限り…

【ひとりぼっちの再会記念日(1)】

2022年11月3日⁡1年8ヶ月──。⁡その時間がどれだけ永かったのか、あれから1年が過ぎた今、もうあまり思い出せなくなっている。⁡それも無理もない。会えなかった時間のことを考える以上に、〈あの日〉の出来事が、ぼくをずっと苦しめているからだ。⁡…