主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【リブート──コーヒーと珊瑚とケーキの記憶】

2018年8月30日 夕刻、帰宅して丸3日が経とうとしていた。 ようやく「コーヒーでも淹れてみようか」という気持ちが湧いてきたので、自分のために買った唯一の土産=35 COFFEEを手に取った。 ──摂取したカフェインが脳を叩くまで20分── 動ける気配が全…

【シャットダウン】

2018年8月30日起き上がれない。いや、「起き上がりたくない」と表現するのが正確かもしれない。──完全なる活動停止──出張による極度の疲労と母の受診付添いによる気づかれのダブルパンチを喰らった。今できる限りの栄養を摂取してひたすらに眠ったお…

【母の乱心──叩く・蹴る・噛む・抓る】

2018年8月29日沖縄出張から戻って中1日で横浜に向かった。母を歯科受診に連れて行くためだ。疲れはまったく収まる気配はなかったが、1日でもはやく、母の義歯調整を進めたかった。下歯の義歯が破損してからもうだいぶ時間が経ってしまった。それだけ…

【美はときに人を惑わす──6日6色の東シナ海】

2018年8月28日 前日の10時に現地を出て、帰宅したのは18時──それからほとんど丸一日、眠っていた。 帰宅後、ぼんやりしながら記録動画を自宅のテレビモニターで確認している間に、案の定、眠りに落ちた。生理現象で起き上がったのか、腹が空いて目覚…

【さよならの朝に】

2018年8月26日早朝に目覚めて、ベッドを見つめる──。沖縄滞在最後の夜は、こんな調子だったらしい。──ベッドに潜り込む気力さえなかった──打上げを終えて客室に戻ったのは、25時過ぎ。休むまもなく着替えて、24時間使えるジムに向かった。滞在期間中…

【夏の終わりに──夕暮れと鈴虫の声と蛍光灯】

2018年8月18日平成最後の夏が終わろうとしている。暦のうえではもう秋──昼間は蝉の声が聴こえるが、夜になると鈴虫が騒ぎ出す。自然は、今日もたしかに、時間が進んでいることを伝えてくれる。毎年この季節になると、母がよく口にしていた言葉を想い…

【カーキ色のソファー】

2018年8月17日頭のなかが色んなことで渦巻いている。こんなときは、単純作業をするのがいい。掃除や家の雑務は、まさに作務のような効果が期待できる。思考が整理されるのはもちろんだが、この一見、生産性も意味もなさそうな営みのなかに「ある気づ…

【めぐる命】

2018年8月15日今日、当時「この日」を実際に経験した母に会っておきたかった。当日のことはよく話してくれたが、今の母が何度目かの今日を迎えて何を口にするのか? それともしないのか? 興味があった。──やっとぐっすり眠れる──その日、母は12歳。…

【答えが知りたいわけじゃない】

2018年8月14日今夜も米が美味しく炊けた。十六穀米入り玄米である。ながらく胚芽米を愛用していたけれど、今年の春から玄米に切り替えた。つけ置き時間がながいなどやや手間がかかるが、ぼくの激しい咀嚼欲を十二分に満たしてくれるため、最近では、…

【虫の知らせ──premonition】

2018年8月13日この単語を憶えたのは、10代の終わりごろだったろうか。David SylvianがHolger Czukayと協働したアルバム《Plight & Premonition》を聴いたときだった。あれからながい年月が過ぎた今年、なんと再発を果たしたというので、現代的にスト…

【ひとりよがり】

2018年8月10日昨日の母の態度が、頭にこびりついて離れない。──途方に暮れる──母に背を向けられたときの気持ちを言葉にするなら、きっとこうだ。どうしたらこの気持ちを手放せるのか見当も付かなかった。ただ…母を見守り続けたこの6年近くの時間を思…

【母の苛立ち】

2018年8月9日従兄弟から毎年贈られてくる千葉・八千代の梨を母にも食べてもらいたくて、今日は丁寧に皮を剥いて、しっかりと保冷した状態で持っていった。──義歯はなくとも食べられる──その見込みが見事に甘かったことを思い知らされた。母は嬉しそう…

【黒い昼食】

2018年8月11日こうして改めて写真でみると、色合いがないことがよくわかる。ひじき和え十六穀米入り玄米きのこ炒めのせ豆腐(バルサミコ酢とピーナツ油で味付け)米酢とオリーブオイル入り国産大粒納豆水出しミネラル麦茶暦は立秋を過ぎてはいるもも…

【Who are you?──だからこれでいい】

2018年8月8日またもや破損した母の義歯修理のため、母が30年間以上お世話になっている横浜の歯科医院まで付き添った1日──。台風の方角へ向けて車を走らせるだなんてよほどの事情がない限りしないが、義歯がない=食事がうまく摂れないことにも通じるた…

【父の墓参り2018夏】

2018年8月6日今日は月に一度の通院日。この医院に通い始めたのは2014年11月からだから、次に冬を迎えると、もう丸4年になる。病院にあまりいいイメージのなかったぼくに、その違和感を和らげてくれたのは母だった。付添いで向かったあちこちの病院で、…

【旅立ちの支度】

2018年8月5日今年も千葉に暮らす親戚から、八千代の名産、梨が届いた。母に食べさせたいと、よく冷やしてから剥いて、持っていく準備をしたけれど、昨日、義歯破損の報告が入ったことを思い出して、一旦様子を確認するまで見送ることにした。梨を剥い…

【父の命日2018──長生きできる幸運】

2018年8月4日今年もまた、この日を迎えることができた。そう、まさに「できた」のだ。今日という日は、誰にでも与えられるわけではない。母の不調と、自分の年齢と経験による物事の捉え方が変化してきたせいか、47歳を迎えたこの1年は、生命について考…

【恍惚のとき】

2018年8月2日事務専用机を設けた。これまではスタジオ内で並行して行っていたのだけれど、実に能率が上がらない──事務を始めると空間は書類であふれて作曲に手がつけられなくなり、作曲に集中するため書類を整理すると、今度は事務が滞ってしまう。──…