主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

【貫いた辛抱──14,400時間(4)】

2021年9月24日⁡今日の面会には、母との再会以外にも目的があった。この20ヶ月の間の母の移ろいを知りたかったのだ。15分間の面会時間の途中で、日ごろ母のお世話をして下さっている職員の方お2人から、最近の母の様子を聞かせていただいた。⁡⁡「…

【貫いた辛抱──14,400時間(3)】

2021年9月24日⁡ぼくが一方的に喋って、母がその様子を見つめる──それだけのやりとりに収まったのは、いつごろからだろうか? 特別養護老人ホームにお世話になり始めた3年前は、だいぶ子供がえりが進んで、思うときに思ったまま何でも口に出すように…

【貫いた辛抱──14,400時間(2)】

2021年9月24日⁡非常階段からバルコニーを伝うルートは、施設の外周をぐるりと一周する形で、思いのほか長い道のりだった。その間、担当の方より、母の現状報告をいただいた。久々の対面でぼくに動揺が走らないように、という配慮が伺えた。当たり前の…

【貫いた辛抱──14,400時間(1)】

2021年9月24日⁡あれから今日まで、幾月が過ぎたのか?⁡今日、母と再会を果たした。⁡母の87歳の誕生日を施設で一緒に祝ったのは、2020年1月下旬。その後、施設は例年通り、季節性インフルエンザの流行期に伴って面会中断となった。そして、その…

【明日への願いを描く──秋分の日2021】

2021年9月23日⁡この30年見渡している、お隣のお庭の断片──。⁡自然は今年も季節を間違うことなく感じ取り、木々を色づき始めさせた。⁡暦とは、人が生み出した概念である。時の流れを周期化し、その日その瞬間に名前と意味を与えたからこそ、人は「今…

【20年前、東京にて】

2021年9月11日⁡幸せの総量は、決まっているのか?──。⁡今から20年前、その出来事を目撃することになる前夜──日本時間、2001年9月11日、夜──ぼくは自宅の寝床に横たわりながら電話をしていた。どれくらい通話していただろう? 2時間? それとも3時…

【着信──緊張、高鳴る】

2021年9月7日⁡今日は兄の誕生日。母に手紙を送るには最適な日のひとつだ。⁡会話ができなくなっただけでなく、面会もできぬままの状況が続いていることもあり、現在、母がどんな様子なのかまったくわからない。そこで募る不安は、ある話題から母の感情…