主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

【はじめてのシュウマイ】

2018年2月28日いつだったか、酒場の会話で聞き覚えたレシピを再現してみた。──豚コマを細切りにして、ザク切りの玉ねぎと混ぜる──味付けは、すりゴマを入れるなど、好みの感じにしたまでは良かったが、案の定、うまく包めない。仕方ないので、恐らく…

【ぼくは、生きる。】

2018年2月28日当たり前のことを当たり前のこととして伝え続けるたとえばそれは大切なひとに素直に「愛しい」と想いを捧げるそんなことと似ている青かったあのころにはとてもできなかったことを今さら恥ずかしくてためらってしまうことを純真なまま届…

【或る静寂のなかで】

2018年2月26日午後、かれこれ3年通っている某大学病院へ。胸に残った小さなケロイド痕と、左手薬指内にできた良性腫瘍除去の後遺症の治療に。いずれも、2011年の手術による結末だった。あれからもう7年にもなるなんて、随分と遠回りした気分だ。それ…

【ネギとシメジのパスタ】

2018年2月26日誰か、ごはんを作ってくれないかなぁ?料理をするのが面倒なこのごろ、食材の買出しさえ億劫になっている。冷蔵庫にあるのは、ネギと萎びかけたしめじ、それからバターだけ。ならば、これでシンプルにパスタを拵えよう。やる気がなくて…

【家族がいたいつもの景色】

2018年2月24日心のなかが支配されている。階段にうずくまって、頭を抱えたまま──。母の不在が続いて1年余り。すっかりこの静まり返った棲家が、ぼくの日常になった。テレビはまったく観なくなって久しい。ラジオは元々聴かない。ネットで見かけるもの…

【1,900日──どうしてひとは、感情を露わにすることを躊躇うのだろう?】

2018年2月23日特別養老老人ホームの入所面談の日時が確定した。打診通り、3月14日午後、現在母が入所している介護老人保健施設にて、本人、ぼく、そしてケアマネジャー同席のもと行われる。母が事故を起こしてから今日まで、およそ5年半。日数にして…

【物語は不意を衝いて】

2018年2月22日相変わらず、振れ幅の大きい毎日だ。満たされた時間──。それが、実際に味わっている実時間よりも短いまま終わるように感じられるのは、楽しいことが連続し過ぎて、すべての瞬間を憶えられないからなのではないか?──ぼんやりしながら、…

【ぼくには何もない。でも、必要なすべてが揃っている】

2018年2月19日月に一度の定期検診を受けに、午前、いつもの街まで出かけた。昨夜もあまり眠れなかったのに、目覚めからやけに健やかな気分だった。歩き出すと、身体も軽い。この数年感じたことがないくらいに。今日も、これまでに抱えてしまったいく…

【劇団仮想家族】

2018年2月16日何だあれは?UFOか?焼きそばか?それとも最新型のピザか?──巨大な義理チョコだっ!──突然ですがお知らせです。私ごとですが、旗揚げしました劇団を。その名も──。「劇団仮想家族」家族構成は、パパ・ママ・長男・次男・末っ子長女。ぼ…

【400日──バランス喪失】

2018年2月16日 昨年、母が入院したのは1月11日未明だった。あれから数えると、偶然にも今日は400日目。 今朝、母を再び施設に送り届けてからわかったことがあった。 ──バランス喪失── 完全に、何にかもがおかしくなってしまっていた。そのことをどこ…

【涙のカルボナーラ】

2018年2月16日正午前、2泊3日の一時帰宅を終えた母を無事に施設へ送り届けて帰宅すると、すっかり疲れがでて、ソファーで夜まで眠ってしまった。回した洗濯機も干した布団もそのままにして…。今宵のパスタは、もちろん孤独のパスタ。──たっぷり胡椒の…

【微笑みがえし】

2018年2月15日母の一時帰宅、中日、2泊目──午前と午後にまたがる長い長い通院付添いの日。帰宅初日同様に、朝からおんぶの達人(男性ヘルパーTさん)に来てもらい、母を2階から玄関まで担いでもらう。母もすっかりTさんの背中に慣れたようで、怖がる…

【バジルパスタじゃなくて小松菜パスタ】

2018年2月15日 今宵の親子パスタは、バジルパスタ!──じゃなくて「小松菜パスタ!」。 いただきものの小豆島のオリーブオイルをたっぷり使って仕上げてみた。オリーブの自然な苦味と小松菜の青々しさが、とってもフレッシュ。 トッピングは、大葉・塩…

【この朝焼けに誓って】

2018年2月15日母のみまもりで、結局一睡もできなかった夜が明けた。4時以降はぐっすり眠っていたようだけれど、気になって1時間おきに確認していたがために、不眠の夜となってしまった。午前7時前、母が起き出すまでの時間を使って、眠気覚ましに散歩…

【ぼくにはもう祈ることしかできない】

2018年2月15日 午前4時──。 抜き足差し足、そっと忍ばせて母の寝室に接近。音を立てないようにガラスの引戸を5センチだけ開けて様子を伺う。 ──やっと眠れたみたいだ── いつもは施設で5時には目が覚めているらしいけれど、今朝はもう少しだけゆっくり…

【母、再び発熱か?】

2018年2月15日 丑三つ時、虫の知らせか突然目が覚めた。 やはりどこか緊張しているのだろう。束の間の睡眠は、案の定浅い眠りとなった。 うたた寝している間は、とても口外できそうきないほど素敵な夢をみていた。まず起こり得ないことのはずなのに、…

【今夜もまた、いつか母と見上げた天井を見つめて】

2018年2月14日 21時──。 気を遣っているのだろうか? いつもの施設での就寝時間になると、母は「そろそろ寝るわ」と言ってベッドに案内するよう求めてきた。 立ち上がりはもちろん、今では一歩脚を出すことが困難になってきている。居間からベッドま…

【母と一緒にROCK IT!】

2018年2月14日 まさか! 今夜は母と、JEFF BECK──。 ROCK IT! #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン6 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #老人保健施設 #入所中 #特養 #入所準備 #一時帰宅 #jeffbeck #川瀬浩介

【憶えていますか?】

2018年2月14日 いつも当たり前だった2人の食卓──。 5ヶ月ぶりだね(ニコ) #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン6 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #老人保健施設 #入所中 #特養 #入所準備 #男の料理 #料理男子 #料…

【プリンセスひろえ】

2018年2月14日先週末に熱を出した時には心配したが、予定通り、一時帰宅を果たした母。わずか2泊3日の外出だというのに、施設を出るときは、入居者、職員の方から手厚くお見送りいただいた。部屋を出てエレベーターに乗り、受付を通過して表に出るま…

【甘えかたを知らないまま】

2018年2月13日 翌日の一時帰宅に備えて様子を確認するため、夕方、面会へ向かった。 高熱を出していた母は、手厚いサポートにより、すっかり元気になっていた。先日と変わらず、未だろれつが回らないのは入歯を外していたからだと思いたいが、これま…

【束の間の孤独という名のしあわせ】

2018年2月11日 いつも通り気づかぬままに、世の中は三連休に入った。そしてやはりいつも通り、ぼくに特別な予定はない。 普段なら面会にいらしたご家族の車で溢れる施設の駐車場も、今夜は閑散としている。そのせいか、思ったよりも強く吹き荒む風が…

【ぼくらしい日】

2018年2月10日 泣いちゃいそうだよ──。 母が高熱を出しているという報告が、午後、ケアマネージャーから届いた。風邪の兆候はないので、尿路感染症の疑いとみて抗生剤を投与したとのこと。過去に2度、尿路感染から敗血症を起こしたことがあるので気が…

【狂乱の波間に】

2018年2月6日 夕方、外で遊ぶ子供たちの帰宅を促す地域放送が流れたとき、ふと窓から空を見上げると、美しい夕陽の陽射しが目に入ってきた。 「今日の空を母と見つめたい」 咄嗟にそう感じて、途中だったことをすべてそのままに、面会へ向かった。 施…

【誰かの無事を祈って──想いを乗せた言葉たち】

2018年2月5日 おはよう・いってらっしゃい・きをつけて──。 おかえり・おやすみ・またあした──。 あれはいつだったか、とある取引先に打合せに出かけたときだった。現場に出て行くスタッフに、ある教育係的存在の方が声をかけた。 「行ってらっしゃい…

【今夜、誰かの不安が癒えますように】

2018年2月4日 2018年2月4日 溜まった洗濯物を届けに、夜、母の面会へ向かった。 ──いつも通りのひと時── 繰り返される話に耳を傾けながら、ときおり言葉をかける──。 「そうだね」 お隣の入居者の方は、風邪を召されているのか至極調子が悪い様…

【介護者としての日々は作務のようなもの】

2018年2月3日 学校を卒業して以来、組織らしい組織に属したことがないせいもあって、季節行事からはますます遠のいている──節分もそのうちのひとつだ。 我が家では、そもそも母がまったく季節行事をやらなかった。それには、母のなかでは理由は明確に…

【母の黙示録】

2018年2月2日 東京に今年2度目の雪は積もった日──。 顔を合わせるのが少し久しぶりだったからか、今日の母は、会話の隙間にいつもの台詞をやけに繰り返した。 「あんたが生き甲斐や。頼りにしてるで」 その表情は、親の不在を案じる子供のようにみえた…