主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

介護

【月のなみだ──母へ報告】

2018年4月18日夜、夕食を摂り終えたところで、急に不安に駆られた。このところ加速している展開を想像していると、今夜、母に、そしてぼくに何が起きても不思議じゃない──後片付けを切り上げ、仕上がっている洗濯物をバッグに詰めて、足速に母の面会…

【あと10日】

2018年4月17日眠れぬ夜を過ごしていた。今日の午前中、介護老人保健施設の担当ケアマネージャーとの面談があった。先日決まったばかりの特別養護老人ホーム入居へ向けて、今後の流れと必要書類の手配、入居前に義務付けられている健康診断のスケジュ…

【真の再起を期すとき】

2018年4月17日よりによって、今夜、読み終えることになろうとは──。あらゆることを引き寄せ過ぎているこのごろ…気の休まる暇がない。しかし、今のぼくの心情を映しているかのような、命をみつめる終盤のエピソードに深く入り込みながら、思ったことが…

【弱さと引き換えに得たもの】

2018年4月16日身体が静かに、悲鳴を上げている。──声なき叫び──すべては、自分が下した選択の結果だった。なんの驚きも発見もない。原因と結果の法則に則った、自分の弱さを客観的に提示された瞬間──。それでも気持ちは、驚くほど落ち着いている。ま…

【決断の朝】

2018年4月15日 決断の朝は、大雨──。 #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン6 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #老人保健施設 #入所中 #特養 #入所準備 #決断 #大雨 #川瀬浩介

【母、特別養護老人ホーム、入居決定】

2018年4月14日あれよあれよという間に、状況が進んでいく──。幾度繰り返しても未だ止むことのない放蕩──その現実から目をそらすように、午後の曇天の空を見つめながら、うつらうつらと居間で横たわっていた。この疲れは、どうやら放蕩によるものだけ…

【アゲハ、再び】

2018年4月10日母を歯科受診のため横浜まで連れて行った。第三京浜を降りたところで、信号で停車し、目前にいたトラックをみて、目を疑った。──アゲハ蝶がいる──今日もまた、亡き父と叔母からのメッセージ。確かに受け取ったよ。#主夫ロマンティック #…

【手放す】

2018年4月9日あれは東日本大震災が起こったあとだった。──生きていくのに欠かせないモノやコトが増えすぎた──そう感じて、身のまわりにあるモノ、これまで携えてきたコト、そして、これからのことをじっくり考え始めた。歳を重ねるごとに増え続けるあ…

【特別養護老人ホーム 内見】

2018年4月9日己の弱さが溢れかえって、今日に延期せざるを得なくなった内見を済ませてきた。朝から妙な緊張感に包まれていた。身支度を整えて外に出てもその状態は続いていて、晴れ渡る春の空を見上げても心弾むことなく、こわばったまま駐車場に向け…

【嘘も欺瞞も言訳もない世界】

2018年4月7日無垢な存在として生まれ、無意識のうちに覚えてしまうこと──。嘘・欺瞞・言訳初めて自分に嘘をついた日──。初めて自分を欺いた日──。初めて自分に言訳をした日──。その瞬間のことをもしも思い出せたとしたら、今、自分は何を感じるのだろ…

【SOS──いつかみた無言の横顔】

2018年4日3日仕事の目処が付いたので、ようやく、再々破損した母の義歯修理のため、横浜の歯科医院に向かった。このところの母は、認知機能の低下が原因か、だいぶわがままになってきている。言動が荒く、要求も多い。公共の場で静かにしていられない…

【音楽がそばにいてくれるから】

2018年3月31日16時──新作パフォーマンスのための音楽、初稿=全40分が完成した。──こわかった──家族・人生・命──そのテーマは、考えれば考えるほど深みにはまり、何度も闇の淵を覗き込むことになった──そんな時間の渦に飲み込まれながら、この、望ま…

【解放】

2018年3月29日早朝、いつもの窓辺から、朝陽を背に染まる満開の桜を眺める。──変化と刺激のある暮らしを──表を歩くことが難しくなった母を車に乗せて、近くまで桜を観に出かけたことを思い出した。去年はこの時期ずっと入院していたから、あれは2年前…

【新しい視点】

2018年3月28日祖母は惚けているのではなくて、違う時間軸にいるらしいと、私は思っていた。かつて過ごしたおびただしい時間が同時に存在する、静かな現実のなかに祖母はいた。《だれかのことを強く思ってみたかった》角田光代 佐内正史(集英社文庫)…

【家族というテーマ】

2018年3月28日3年前のあの日々よりも苦悩する制作期間が訪れるだなんて…。「家族」というテーマは、今のぼくには抱えきれないのだろうか?#主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン6 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #…

【幸運はとめどなく】

2018年3月27日こんなときでも、腹が減る──。つまり、これは、たいした問題じゃないということなのかもしれない。いや、食欲を満たすことによって、苦痛を紛らそうとしているのかもしれない。いずれにせよ、こんなときでも、確かに腹は減るものだ。こ…

【他には何もいらない】

2018年3月27日だれかの手でふれられること──。(エリザベス・キューブラー・ロス/デーヴィッド・ケスラー《永遠の別れ》より) #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン6 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #老人保健施…

【その瞬間】

2018年3月27日ここ数年、いつ訪れるかわからないその瞬間に備えるべく、様々な準備をしてきた。こうした本に目を通すことも、その一環。「まえがえき」を読み終えた瞬間、まさか嗚咽するとは思わなかった。急激に「今」という時から遠のき始めた母を…

【ぼくはここにいる】

2018年3月26日言葉では言い尽くせない恐怖に苛まれている。何をしたって、この恐怖から逃れることはできない。ただ唯一、その痛みを和らげることができるとしたら…。──目を逸らさず、今と向き合う──どんなときも、それしか方法を知らない。いくら狂乱…

【幸運はずっとそばにある】

2018年3月24日絶え間なく訪れるのは、空虚さだけではない。今夜もまた、どこからともなく、メッセージが届いた。──ぼくの心のざわめきを察知しているかのように──連絡がくるのは、久しぶりだった。それだけでは足りない気がするけれど、思い浮かぶの…

【あの日この日】

2018年3月24日組織に属してこなかったぼくにとって、春はもう、出逢いの季節ではない。当然、別れの季節でもない。けれど、春にはなぜか、振り返りたくなる出来事がたくさんある。そんな記憶の断片を象徴的に彩るのが、桜だ。芽吹くたびに、花を咲か…

【抑えられない気持ち】

2018年3月23日季節の変わり目のせいに違いない。このところ気持ちのざわめきが収まらない。さらに現在、制作真っ只中のため、「丁寧に暮らす」というミッションからも遠のき始めている。制作中はそのことで頭がいっぱいで、他のすべてのことが手につ…

【森山開次《サーカス》──再演に向けて】

2018年3月22日3年ぶりにここに帰ってきた。同じメンバーで同じ作品がこの場所で再演できること──とても光栄であり、嬉しくもあり、誇りに思う。初演当時、母は既に長時間歩くことが難しくなっていて、ぼくが車椅子を押して一緒に鑑賞した。あの日が、…

【大人は社会の模範たれ】

2018年3月22日午後、母が入所している介護老人保健施設でコンサートがあった。入所者の方を中心にした…と伝えられていたが、その方は元々、日劇で歌手をされていたそうだ。バンドのサポート陣もまたプロフェッショナル。ジャズスタンダードを中心にし…

【正気と狂気の狭間で】

2018年3月21日小雪が散らつく春分の日──。ひと気のないこの家の中でひとり、頭のなかから離れなくなった音を紡いでいる。──待ちわびていた音楽が舞い降りてきた──問題は、この今の感情にどこまで向き合えるか? そして、完遂するまで、ぼくが耐え切れ…

【家族の太陽】

2018年3月20日母のケアプラン作成のためのサービス担当者会議に出席した。母の現状をこの目で確認し、この先、どうサポートしていくかを検討する場である。母の状況は、先にケアマネジャーから伝えられていた通り、脚力、認知力含め、この2週間ほどで…

【家族のメロディ】

2018年3月19日家族──。家族──。家族──。家族をテーマにした作品を手がけることになった途端に、そのことばかりが身の周りを埋め尽くし始めている。晩年を迎えた母を見つめながら家族について考え、酒場に出かけて語れば、顔馴染みの店主や常連さんら…

【pureness】

2018年3月17日かれこれ知り合ってから10年にもなるアーティストの結婚のお祝いに横浜まで。ぼくは年齢に関わらず、「さん付」で作家仲間を呼ぶことにしている。それは、相手に対して敬意を払っているという気持ちの表れであることはもちろんのこと、…

【甘えたっていい】

2018年3月16日先の静岡出張中に報告が届いた母の義歯破損の件──その修復のため、今日は遥々、母が30年お世話になっている横浜の歯科医院まで付き添った。通常、行きは車で1時間、帰りは渋滞に巻き込まれて2時間はかかる道のり。1番心配なのは、母の体…

【幸運の証】

2018年3月15日友人夫妻のお祝いに駆けつけた夜──。たくさんの仲間たちから祝福される様子をみて、自ずと嬉しくなる自分がいた。きっと、こんなに愉快な毎日を築き上げるのは並大抵のことじゃない。でも、それが叶えられるのも「ふたり」がいるから──…