主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【音楽がそばにいてくれるから】

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2018年3月31日

16時──新作パフォーマンスのための音楽、初稿=全40分が完成した。


──こわかった──


家族・人生・命──そのテーマは、考えれば考えるほど深みにはまり、何度も闇の淵を覗き込むことになった──そんな時間の渦に飲み込まれながら、この、望まない静けさに満ちた家の中で独りもがいていた。


──森羅万象・喜怒哀楽──


そのすべてを網羅するような音楽を──。


求める音が果たして連ねられるのか?
みんなが喜んでくれる音楽が鳴り響くのか?


そう想うだけで震え上がり、心のなかでは発狂しつつ、ときに狂乱の波間に自ら飛び込んだり、薄明かりが射し込むスタジオでただただ天を仰いだり…。


──前へ──


もう、どうにもならない。
頭に中は不安でいっぱいだ。


止めしなく溢れかえる負の妄想を遮断する唯一の方法は、音楽のなかに身を委ねること──。


──これまでずっとそうしてきたんだ──


それしかなかった──。

忘れかけていたことを思い出して、無心でピアノに触れると、まるで今の心象を映すかのような調べが鳴り響いた。


「綿密なアレンジをしなくちゃ」


それは、そんな無駄な邪心から解き放たれた「素直」な音色だった。

普段なら、そこからつい手を加えてしまうところだが、その瞬間の煌めきをそのままに留めておきたかった。

40分──ショーの終曲として、そのとき手にした音楽を配置した。


《Into The Light》


旅立ちと放下を想起させるような曲になった。


──ひとはいつか不自由になる身体から解き放たれる──


それは、悲嘆ではなく、祝福──。


母をみまもり続けて、感じたことだった。


さて、果たしてこれが、みなさんに伝わるだろうか?


そのとき始めて、この音楽は、完成する。


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