【死は忌むべきものではない】
2022年3月24日
昨日は極端な1日だった。
こんな状況の最中に、わが幸運を噛み締める出来事があったかと思えば、同時に、恩師の訃報が届けられた。今の気持ちに染み入る言葉を交わし合い、想像さえし得なかった穏やかな時間が過ぎた途端、恩師の訃報が重くのしかかりだし、心身のバランスが崩れた。
その影響で今日の予定──母が暮らした介護施設での退所手続き──をキャンセルすることになった。
床に深く身を沈めながら、この厳しい時代の記憶を振り返った。
──この8ヶ月で4人との死別を経験した──
昨夏、緊急事態宣言下に、友人を喪った。その事実がようやく実感を帯びてきたころ、冬の帳に母が逝った。
その支えきれそうにない喪失をあたかもなかったことのようにしてくれたのは、愉快で穏やかな日常を授けてくれた婚約者の存在だった。
──どんな不安も安寧の地に誘われる──
そう感じられるほどの時間を共に過ごした女性が、母の死から一ト月後、突発的な病により急逝した。
──母の喪失に慣れる暇もなかった──
婚約者の死から二タ月余りが経ったいま、そのすべての死別の悲しみが一気に押し寄せてきている──そんな最中に、今度は、恩師が逝った。
──死別は乗り越えるものではなく受け容れるもの──
死別や悲嘆に関するあらゆる本を手にとっている。これは、そのなかで出逢った言葉のひとつである。
死は忌むべきものではない──故人の死を悼むとは、そう思えるようになるまでの時間のことを差すのかもしれない。
──亡くなった人の分まで生きる──
遺されたものにとって、その想いはずっと消えないだろう。しかし、そうした使命感を強く抱きすぎるのは、ぼくには向いていないと近ごろ感じるようになってきた。
その想いに囚われてしまうことは、他者の人生を生きることに成りかねない──そう思ったからだ。
──死別を受け容れる──
この言葉に自分なりの意味づけが果たせたとき、何かが変わるのだろうか? はっきりとした分岐点があるとは思えない。きっと緩やかに日常のなかに想いは薄れていき、そのとき、朧げになった記憶との距離感が保てる──そんな感覚を抱ける日がやってくるのだろう。
それは「今」かもしれないし、果てしなく遠い未来になるかもしれない。
たとえそんな日がやってこなかったとしても、わが人生を全うすることができるように──今はただ、そう願うばかりである。
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