【明日への願いを描く──秋分の日2021】
2021年9月23日
この30年見渡している、お隣のお庭の断片──。
自然は今年も季節を間違うことなく感じ取り、木々を色づき始めさせた。
暦とは、人が生み出した概念である。時の流れを周期化し、その日その瞬間に名前と意味を与えたからこそ、人は「今」をより色濃く感じ取れる心を育めるようになったのだろう。
一度として同じ今日などないというのに、「今日」という日をかつて体験したことがあると感じたり、誰もが経験したことのない「明日」が、何も案ずることなく自ずとくやってくるものとして捉えることができるのも、「暦」もしくは「時間」という概念がある故だ。
しかし一方で、その概念を生み出してしまったこととは、「等価交換」とも考えられる。つまり、概念の誕生は、人が自然との完全なる調和を解いた証でもあるからだ。
大いなるものを得たら、それと同価のなにかを手放す──その逆もまた、然り・・・。
このコロナ危機の真っ只中で、ずっとそのことを考えている。なぜならこの感覚は、初めてではないからだ。
──いつかの時と似ている──
あれはまさに、ギフトだった。奇跡と言ってもいい。そこに至る目前の出来事は、今の心情を写しとったものと言っていいほど、実によく似ている──そう感じられるのも「時」のおかげだ。
過去がそうだったからといって、再び似たような贈りものが届けられるという保証は、無論ない。けれど、ぼくは今、ようやくこう想えるようになった。
──明日への願いを描くために、人は「時」を発明した──
どうかその絵を描き続けていたい。その願いを叶える「時」にたどり着くまで。
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