主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【大いなる時の隔たりを経て──悲劇のあとの奇跡(序文)】

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2023年7月9日

この出来事をすぐに書き留めておきたいと思っていたが、今になるまでこうして時間が過ぎてしまったことには理由がある。最も適した時機に、〈ぼくのもとに舞い降りた奇跡〉について触れるためにも、まずはそこに至るまでの間に起きた出来事を振り返っておきたい──そう期して、大いなる時の隔たりを経たいま、再びここに綴り始めている。

いま振り返れば、その奇跡へと導かれる序章が幕を開けたのは、先だった元婚約者の生誕祭を行った2022年11月18日のことだった。それを境にぼくが囚われていた悲嘆感情は一旦落ち着き、未来へ向けた準備を進めた。その翌週には、これもやはり彼女の生誕祭を行った日に授かったご縁で、50年以上に渡りわが家を見守り続けてくれた仏壇の閉眼供養を自宅で執り行った。そこで気持ちの鎮まりがより深められたぼくは、そのさらに翌週、秋口から受け始めていたグリーフケアを一旦終了する決意を報告をするため、ある大学病院へ向かった。


──その日はちょうど、母が命を閉じた日から一年が経った日だった──


母が息を引き取ったと報告を受けたのは、2021年12月2日の20時過ぎだった。看取りを行っていただける介護施設に母を預けていたこともあり、死亡診断は翌日、提携先の病院で
行われる運びとなった。そのため、母の法的な命日は、12月3日となったが、ぼくの心のなかでは、12月2日もまた、大切な日として記憶に刻まされている。

ここへ至るまで遡ることおよそ二タ月の間、ぼくは、荒れ狂う感情の波間で溺れかけていた。まずはその当時のことから振り返ってみたい。


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