【約束の地へ、再び】
2022年6月22日
遂に劇場入りを果たした日──ここまで、ながいながい道のりだった。
《新版・NINJA》と銘打たれ、2019年の初演時は小劇場──そこから中劇場へと場所を移して行われるこの再演は、ほとんど〈新作〉と言っていいほど印象が異なっている。
この再演を誰よりも楽しみにしてくれていた、とても愛しい人が逝ってから半年が過ぎた。寒さに凍え、〈これを超える苦痛はない〉と思うほどの悲しみと孤独に震えたあの時間のことは、生涯、忘れえないだろう。
すべてのシーンを見つめるたび、彼女の多彩な表情が想い出される。目を丸くして作品の世界観に引き込まれていたかと思えば、ときには息を呑むような表情で場面を見守る──。
──ぼくの心を介して、目の前のすべてを感じてくれている──
そう信じて、溢れでてくるものをこらえている。
体調はよくなる気配がない。最近は、脳が燃えたぎっているような感覚で、頭脳に熱を帯びている。
今日もこうして「今」を迎えられているのは、亡き母と早逝した彼女が見守ってくれているからに違いない。
ここまで辿り着くことが、ぼくの役目だった。劇場では卓越した能力と経験を備えた音響チームが中心となって音作りを進めて下さっている──これでもう、安心。
すべての関係者と、この作品を見届けて下さるお客様の無事を祈願して、これから本番まで、あと僅かな時間を全力で駆け抜けたい。
思い描いた図を見届けることが理想だが、何より無事に、全行程を終えることができれば本望である。
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