主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【授けられた奇跡に応えていく】

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2018年10月6日

半年ぶりの飲酒──ワイン・日本酒・ラム──かつての自分から思うとないに等しいほどだったが、久しぶりの身にしては結構な量をいただいた。

今日は、母の病状についての説明が主治医からあった。入院に至った症状については改善されたとのことだが、各種検査を経て、ほかの新たな症状も発見されたという。治療を施すか否かについて判断を委ねられた。行う場合はかなり身体に負担がでるという。


──無理な延命はしない──


母との約束を改めて思い返した。


「このままでお願いします」


ながい時間の経過がそうさせたのか、この3年の間に取り組んできた自己改革の成果なのかはわからない──理由などいらない──そのあとも今も、まったく気持ちの揺らぎはなかった。

その夜、お酒をいただいたのは気持ちを紛らせたかったからではない。たまたまそういう機会にご一緒させていただいたというだけの理由だ。そして実はもうひとつ──半年遠ざかっていた身として、お酒を嗜むことについて身体と心がどう反応するのかを試してみたかったのだ。


──解に導かれた──


心身の反応は、実にわかりやすいものだった。


──今は未だ、必要ない──


お酒から遠のいたのには、いくつかの理由がある。公には〈健康のこと〉を主たる目的として語っていたが、最大の理由は、やはり母のことだった。

今はいつ何時、母の身に何が起こるかわからない──そんな状況が続いているのだ。


──もしも酔っているときに緊急の呼び出しがあったら──


昨夜も身体をめぐるアルコールに意識を眩ませながら、頭の片隅には絶えずそのことがあった。


──不安は現実にはならない──


望まないことは、忘れたころにやってくる──だからそのことを絶えず忘れないようにしている。

多忙を極めている兄が、今日、遥々母を見舞いにいってくれたらしい。母は眠っていたそうだが、その姿を兄から報告してもらえたことを何より嬉しく思った。

今日も目が覚めて、瞳を開き光を感じる。昨日までと変わることなく絶え間ない呼吸が続いているのは、奇跡に他ならない。

その授けられた奇跡に、ぼくは全力で応えていく。


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