2017年11月15日
ゆっくりとゆるやかに子供がえりをしている今の母に、何か退屈しのぎはないだろうか?
本はあまり読まないからいつも新聞ばかり届けていたけれど、
「そうだ!音楽はどうだろう?」
と今ごろ気がついて訊ねてみた
「譜面はまだ読めるかい?」
売り出し中の女優や有能なエンジニアのように、何でも「できる」と口にする母は、期待通りに応えてくれた。
これまでは、オーディオプレイヤーを渡そうと思っていたのだけれど、ヘッドフォンでひとりで聴き入るより入居者の皆さんと交流した方がいいのでためらっていたのだが、譜面なら、その場で母が歌えば全員が共有できる。
母にゆかりのある曲といったら、トリノ五輪の開会式で思わず号泣させられたパバロッティの歌唱が未だに鮮明に記憶に残っている〈誰も寝てはならぬ〉、そして、この曲をオーケストラ伴奏で歌いたいがために単独行動派の母が地域のママさんコーラスに入部してソプラノに挑んだ〈第九-歓喜の歌-〉だ(目的を達成した途端に退部したときには、実に母らしいと思った)。
久しぶりに出向いた池袋ヤマハ楽器で2曲とも手ごろなスコアが見つかったので迷わず手にした。
それだけだときっと楽しめないだろうと(そもそも今の母が譜面を読めるとは信じがたい)、母が愛した指揮者=クラウディオ・アバドが携わった音楽にまつわる絵本を添えた。
「たしか家にあったはず」
と探してみたけれど見当たらず、ヤマハの帰りにジュンク堂本店へ立ち寄ると、まるでぼくが手に取るのを待ちわびていたかのように、たった一冊だけ在庫があった。
施設に預ける持ちものには名札を付けることになっている
「普通に名前をふってもなぁ...」
そこで思いついたのはこれ
──ひろえ音楽室──
周りのみなさんとの会話の種になればいいな。
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