主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

【前を向くために】

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2017年11月17日

 

「どうするんだっけな?」

 

もうながい間、窓を磨く気持ちの余裕さえなかった。あらゆることに追い詰められ、ときにそれから逃れることばかりに注力しては、気づくと身近なことから疎かになっていた。

 

 

──ガラスみがきとワイパーを買ってきて汚れを拭き取れば手間も減るのか?──

 

 

そんなことを想像するだけで、重たい腰はますます上がらなくなる。

 

 

〈雑巾を絞って拭けばいい〉

 

 

こんな簡単なことを思い出すまでに、随分と時間がかかった。

 

窓を拭いて、ベランダの手すりを磨いて、シャッターボックスの汚れを落として…その間、繰り返し繰り返し絞った雑巾は、何色と表現するのが正確なのかさえ思い当たらないほど、すべての色を寄せ集めて、異様に残酷な物質と化した。一方、不思議と水は黒ずむことはなかったが、無論、透明度はゼロ。手も染まりそうなほど深く濃い鈍色をしていた。

 

 

──これが、母とぼくの5年という時間だった──

 

 

母が不在となったこの1年、溜め込まれた不用品を処分したり、使われないままの大量の食器を譲ったり…自分の仕事道具も厳選して、とにかく身軽になろうと試みてきた。

 

最近は、網戸を張り替えたり、ベランダや庭など家の外装を整えたり、母が大切にしていた花瓶や器を磨いたり…。

 

今のままでは叶うはずもないことをしりながら…それでも何かを変えたいと必死になってこの住処を再構築していた。

 

 

──母をいつでも迎えられるように──

 

 

在宅介護と自分の暮らしという〈ふたつの日常〉を見つめながらではとてもこなせなかったことに、今日、ようやく目処がついた気がする。

 

あれから、とてつもないほど、ながいながい月日が経っていた。

 

まだまだ整理するべきこと、果たすべき責任はあるけれど、やっと少しずつこなしていけそうな感触が湧いてきている。

 

 

──視界良好──

 

 

さて、そろそろ前に進もう。

 

 

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