【再会のときのために──LIVE BONE in 春秋座2022、完遂】
2022年8月21日
今年はずっと、泣き通しの日常が続いている。そして今日もまた、やはりぼくは泣いている。しかしこの涙は、この8ヶ月の間に流した涙とは、明らかにその性質が異なるものだ。
いつもサプライズを仕込む側のぼくが、若者たちに仕込まれたサプライズに落涙させられた──。
その場で目を通すと、溢れるものが止めどなくなりそうだったから、ひとりきりになる帰りの新幹線でじっくり向き合うことにした。
「人前で涙を流すのは、恥ずかしいことじゃない」
今ではぼくの個性のひとつとなった2つの死別を通じて授けられた気づきを、これから人生という名の荒野により深く色濃く向き合っていく若者たちに伝えた直後だったのに、ぼくは、あのとき、涙を堪えてしまった。
──もっとゆっくりでいい──
ぼくが今迎えている変革は、いつか想像を超える大きなうねりを呼び込むに違いない。けれど、今はまだ、時間が必要なんだ。
この旅の間に、「愛しいひとの死別を受け入れること」についての気づきを得た気がした。それは、〈あの日〉からずっと待ち侘びていた瞬間だったはずなのに、今はすっかり思い出せない。現場の喧噪と愉快さと、これから何かになろうと全力を捧げている若者たちの熱量が、ぼくの小さな気づきを、再び心のなかへ埋め戻してしまったらしい。
昔、誰かが教えてくれた言葉をいま、思い出した。
──前へ進むために、ひとの顔は前を向いている──
彼ら彼女らがいままさにそうしているように、ぼくも再び前を向ける時がきっとくる──いまは、ぼくがぼく自身の一番の親友になって、そう信じられるように全力でぼくがぼくにエールを送り続けるのだ。これまでのぼくが、星の数ほどのエールを周りに送ってきたように……。
そう気づかせてくれたたくさんの若き情熱たちに、胸いっぱいの感謝を込めて伝えます。
今は未だ想像もし得ないかたちでの再会を楽しみにしています。
またね!
#livebone #春秋座 #京都芸術大学
【初盆に届いた母からのサイン】
2022年7月17日
先立った婚約者を悼むための場所がある──そこに今夜もやはり向かうことにした。
いつものようにひとりで向かう予定だったが、偶然、というよりむしろ、予め決められていたのではないかと思うほど自然に、その場に友人が合流してくれた。
身体も心も、そして魂さえも凍えた、あの大雪の日の悲劇──婚約者の終を見守った一週間──を遠隔で支えてくれた友人だ。パンデミック下の2年半の間、この日を含めて会うのは3度目となったが、思えばそのすべてが、母と婚約者の終に関連してのことだった。
人に会うと、話を聞いてもらえる有り難さを感じつつ、その話に終始してしまうそうになることを心苦しく感じる。そのため、なるべく慎むようにしているが、堪えきれない時間が訪れる。今日はまさに〈そのとき〉だった。
──あれから半年が経った──
これからの未来を確信していたからこそ、慎重に慎重を重ねて過ごし、辛抱の極点を何度味わっても耐え抜く──そう誓ってまさにそれを実際に果たしたパンデミック以降の時間を振り返ると、もう少しで希望の糸口が掴めそうになっていただけに、その衝撃を何倍にも感じてしまっているのかもしれない。一ト月の間にふたつの死が重なったこともそうだ。そのあまりに残酷な展開に、ぼくは完璧なまでに打ちのめされてしまった。
──この衝撃で絶命させられてもおかしくない──
事実、近親者の急逝に伴い、脳や心臓に急性疾患が発症するケースが急増するという統計があるそうだ。その現実を想像すると、ぼくがいま生きるだけで精一杯なのは、ごく自然なことでもある。
こんな話を、友人とのせっかくの時間にしていたわけではない。今夜の話は総じて〈縁〉や〈めぐり合い〉についてだった。
そんな流れに導かれるように、記憶が不意に呼び覚まされる展開が帰り道に待ち受けていた。友人を見送るために普段とは異なる駅の方向に進むと、そこは、亡き婚約者と最初に歩いた道だった。
途中のターミナル駅で友人と別れ、最寄駅につくと、時刻は──午前12時3分。
母の命日と同じ数字だった。
ぼくの誕生は、母の命懸けの決断があってこそだった。そのとき母が諦めていたら、ぼくのすべてはなかった。あの歓びも、この悲しみも……。
──この悲劇は、これからめぐり合う大いなる歓びの扉を開ける鍵──
初盆の夜、母からのサインが絶好のタイミングで届けられた──今夜は、そう思うことにした。
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【巡礼の旅〈この旅の終わりに〉】
2022年7月16日
初盆の儀式を終えて、どれだけの時間をその場で過ごしていただろう?
たくさんの人たちが故人を悼むために集い、思い出話を語る──その輪が大きくなればなるほど、ぼくには〈彼女の不在〉が、色濃く映し出されてくる。
ぼくたちのことを知る世代を超えた人たちがこんなにもたくさんいるのに……これからもっともっと楽しくなっていくはずだったのに……なぜぼくたちは「今」、それぞれの棲家に離れ離れにならなければいけなかったのか?
その意味を問い続けることが、ぼくに託された新たな使命のひとつ──そう信じて、いつか真の意味で前を向けるようになる──ただそれだけを期すばかりだ。
どこへ行っても何をしても、何かを成し遂げても未だにこんなにも涙が溢れてくるのは、彼女の無念さまでもがぼくの身体を通じて湧き出ているからに違いない。
出逢えた奇跡と、共に過ごせた時間と、そこに芽生えた〈確かなもの〉に、今一度、胸いっぱいの感謝を──。
有難うございます。
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【巡礼の旅〈亡き婚約者の初盆〉】
2022年7月16日
昨日に続く土砂降りのなか、今日は亡き婚約者の初盆へ──。
これまでの人生のなかで最も長い、無限にも感じる半年が過ぎた。それは、パンデミック突入以降で会えなかった期間が20ヶ月も続いたあのときよりも永く苦しい、まさに「月日」と表現するに相応しい、途方もない時間だった。
今日は案じたほど大きく気持ちを揺さぶられずに済んだのは、ここまでに至る苦い経験を生かせた結果だと評価すると同時に、支えて下さっているみなさんの想いを感じたからに違いない。ただ、一方で、この月日の捉え方が、未だはっきりしないままでいる。
──もう半年──
──まだ半年──
いずれにせよ、今はただ、この旅のいい効果が現れてくれることを期待するばかりである。
その成果を確かなものとするために、この旅のことについて改めてじっくりと振り返っていきたい。
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