主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【過ぎたことは忘れろ】

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2017年12月30日

 

年末年始のための作り置きを終えて、半年に一度の換気扇フィルター交換を済ませた。

 

この5年、フィルターを交換する度、目撃することができなかった母が事故を起こした瞬間のことを想像しては苦しくなっていたが、時間は、ゆっくりとぼくの記憶を遠のかせては語りかけてくる。

 

 

──「過ぎたことは忘れろ」──

 

 

今日はまるで墓前に手を合わせるような気分で、粛々と交換作業をしていたような気がする。

 

明日はいよいよ大晦日。この一年の無事を祝いたい。 #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン6 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #老人保健施設 #入所中 #特養 #入所準備 #晦日 #大晦日 #換気扇 #換気扇フィルター

【年越し準備の主夫ロマンティック】

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201712月29日

 

クラクラの身体に鞭打って、夕方から主夫ロマンティックに変身。どうにか年越し準備を終えた22時(嘆息)

 

 

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【通院納め──ボーダーライン】

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2017年12月28日

 

年に一度の緑内障検査で、今年の通院納めとなった。

 

肝心の検査結果は、「右目=ボーダーライン」の判定。

 

眼圧がで正常で一部に初期の緑内障の疑いがある「正常眼圧緑内障」との診断。これまでの倍のペースで、一年に二度の検査を進められる。

 

現在は、とてもゆるやかな進行状態だと予想されるが、次回検査以降進行が早まっていればそれから対策でも遅くない、ということなので、それまで特に何も処置はしない選択をした。

 

原因は現代医学では未だ解明されていないらしいが、光を直視する作品を手がけたり、目を酷使していることは間違いない。

 

病院を出て空を見上げると、快晴の澄み渡った青空に、真昼の月が浮かんでいた。

 

 

──嗚呼、なんて美しいんだ──

 

 

美の前に、他のすべては些細なこと。

 

何も語りかけることなく、美は、ぼくの心象を具象する。

 

 

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【音の棲むところへ】

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2017年12月27日

 

先週の歯科受診付添いは、久々の遠出と全介助が必要となってから初めての一人きりでのサポートだったため、戸惑いと焦りがぼくを手間取らせ、予想以上の疲労を招いた。

 

今日は、先週の失敗も踏まえて落ち着いて介助できたが、母を施設に送り届けると、やはり安堵したのか、覚えのある疲れが一気に襲いかかってきた。今夜は約束があったのだけれど、こちらの連絡不手際で流れてしまい…返事を待つ間横になって休んでいると、案の定、眠ってしまった。先方には失礼をしたが、ひどい疲れを背負ったままでかけるよりは、きっとよかった。

 

義歯の調整も今日で完了し、母への労いも兼ねて、好物の「阿闍梨餅」を贈った。大阪から京都に嫁いだ母は、たくさんの「うまいもん」をぼくに教えてくれた。幼い頃から母と通った新宿伊勢丹地下食料品売場で、かつての母がそうしていたように、カゴいっぱいの阿闍梨餅を買う…この売場を我が庭のように歩き回って買物していた頃の母の後ろ姿が思い浮かんだ(その背中を見つめていたぼくはもちろん、荷物持ち)。

 

まだ辛うじて歩けたころ、家に閉じこもりがちになっていた母を連れて、この地下食料品売場まで出かけたいつかの年末があった。ぼくの腕にしがみつくようにしてよろつきながら歩いていた母の様子を振り返ると、ぼくの知る「母としての母」の姿は、あの頃が終演間近だった。

 

 

──母との会話は、もうほとんど成立しない──

 

 

今は、子供とのやり取りのようになっている。

 

「よかったね」

「楽しかったね」

「美味しいね」

 

母の発する言葉に、そう返して応えるだけ。もしくはぼくの問いに母が応える…。断片が連なるだけで、そこから先に会話の展開は特にない。

 

「よく笑う今の母を見つめていると、それだけでもう十分」

 

今ではわずかになってしまった母と過ごす時間に、そう自分を言い聞かせるようにして言葉を重ねている。

 

あれだけ大好きで、食べ始めたらいくつも口にしていた阿闍梨餅も、今日はひとつで満足したらしい──身の廻りの品品も、たくさんの宝物も、想い出も、そして自分自身を支えいる身体も、いつかすべてを手放して、この浮世に放たれる前の住処に戻る──母が愛した音楽のように、解き放たれた音は、空気を揺らしながら目に見えない音色で物語を奏で、やがて鳴り止み、一生という舞台の幕を閉じる。

 

──音楽はどこからやってきて、どこへ帰るのだろう?──

 

きっと、ぼくたちも音楽も、同じ場を行き来しているに違いない。

 

 

──音の棲むところへ帰る──

 

 

母の大団円へ向けたお手伝いを──それをやり遂げる日、ぼくの使命のひとつもまた、そっと幕を閉じる。

 

 

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【寂しさを温めるための記憶の一片になるように】

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2017年12月27日

 

母の歯科治療、第2弾。

 

 

──ただいま受診中──

 

 

道中、先週と同じ曲を繰り返し聴きながら、1時間ほどのドライブ。会話の記憶はなかなか維持できなくなっているけれど、歌はまだ憶えているようで、手を叩きながら楽しそうに声を合わせて歌っている。中盤の女性コーラスが入る部分では、身体を左右に揺らしてリズムを取って笑う──。

 

それは、側からみれば微笑ましい光景に違いないのだが、こんな時間もいつかは幕を閉じるのだと思うと、無条件に込み上げてくるものを覚える。

 

 

──ぼくの知り得なかった母の子供時代を見ているよう──

 

 

誰にでも微笑みかけて、手を上げては「やぁやぁ」と挨拶をする今の母は、無邪気な子供の振る舞いそのもののように映る。少子化と言われて久しい現代、世の中に無垢の笑顔が足りなくなっている今、母の笑顔が誰かの心の扉を開くお役に立てたら…傍でいつものその笑顔を見つめながら、そっと願っている。

 

帰りもまた、たくさん歌っておくれ。いつか襲い来るであろう寂しさを温めるための、大切な記憶の一片になるように。

 

 

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【慌ただしい午後に出逢った木】

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2017年12月26日

 

珍しく早起きして、朝一番の時間にしか上映していない映画を観に行った。

 

出勤ラッシュから少しだけ遠のいた時間に電車に乗っていると、母を預けている施設から着信があった。下車して伝言を聞くと、母の義歯にトラブルがあったらしく折り返してほしいとのこと。映画館に向かいながら電話を入れた。

 

最初の報告では、一部が折れてしまったとのことだった。自由診療で入れている義歯ゆえに、修正にはまたかなりの追加料金が発生しそうだと嘆息しながら朝の喧噪のなかを目的に向かって急いだ。

 

それからおよそ2時間半のち、ちょうど昼どきに映画館を出て食事に向かうころになって電話をオンラインにすると、上映の合間に複数の着信と伝言が残されていたことを知らせる通知が連続した。

 

内容を確認するとかなり慌てた様子だったので即座に折り返す。すると、折れた義歯の一部を誤飲した可能性があり、もしもその場合は体内の画像撮影をした方がよい、との打診があった。

 

破損の具合を口頭説明され把握するのはかなり困難だったので、現代的に写真を撮影して送ってもらった。

 

ぼくの記憶の限りでは、特に問題は見受けられなかったが、とにかく今から確認のため施設へ伺う約束をして家路を急いだ。

 

しかし、こういうときに限ってドラマはつきものである。

 

 

──電車不通──

 

 

自宅最寄駅のひとつ手前で折り返し運転となってしまい、やむなく下車。時間には少し余裕があるようだったから、ひと駅、歩くことにした。

 

帰宅してから支度を改めて施設に向かうと、スタッフの皆さんが心配そうな表情で迎えて下さった。挨拶もそこそこに、母の居室へ向かって、義歯を確認。寝ていた母を起こし、装着した状態でもチェックして問題ないことを確認した。

 

ケアマネジャーは恐縮しきりだったが、思い込みで「大丈夫」として問題が流される方が問題なので、むしろ、問題ないことを確認しあえる対応をしていただいたことに感謝を伝えた。これまでと何か違うと気付いて下さったのは、口腔ケアを担当されたスタッフの方だという。お話を伺うと、本当にわずかな差を憶えていて下さっったようで、万全を期して確認の連絡を入れて下さったのだそうだ。

 

 

──頭が下がる──

 

 

ケアスタッフひとりあたり数名を看なければならない体制で、かつ入居者の入れ代わりも激しいというのに、少しの違いを見逃さなかったことに感激した。今後は、治療の経過もきちんとこちらから申し送りできるよう、最新の状況と画像をお預けすることを約束した。

 

そんな慌ただしい午後だったが、穏やかな瞬間もあった。途中下車を強いられて初めて歩いた住宅街で、今では珍しいくらい大きな空き地と出逢った。敷地の奥には立派な木が立っていた。

 

「また介護施設でもできるのかな?」

 

そんなことを想像しながら立てかけられていた建築計画を確認すると、どうやら集合住宅が建つらしい。

 

自宅の近所にも、最近大きな邸宅が取り壊されて建築予定地ができた。かつてそこには空高く、壁のような存在感でそびえていた数本の木々があったのだが、それらまで切り倒され、今は完全な更地にされてしまった。

 

今日出逢ったこの木は、果たして今のまま保存されるのだろうか?

 

 

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【病院・病院・また病院】

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2017年12月25日

 

今月は、自分と母の付添いで病院へ来てばかり。

 

今日は、胸元に残った小さなケロイド痕治療のため大学病院へやってきた。治療にあたり、とても遠回りしてこの病院にたどり着いてから3年。

 

 

──最初からここにめぐり合っていれば──

 

 

と悔やんだ時期もあったけれど、傷はゆっくりと改善しているうえに、ここへ来たおかげで、以前から抱えていてなかば完治は諦めていた左手薬指の痛みも診てもらい、和らいできていることを思えば、あの苦悩の時間も不可欠な出来事だった。

 

 

──まわり道も無駄にはならない──

 

 

そんな先人が説いた教えを今、身を以て痛感している。

 

今日の診察は2人のドクターに同時に別々の箇所を診てもらうという、なかなか珍しい体験をした。ぼくがいつもの調子で喋りまくったせいか、ドクター陣との会話も弾み、束の間の診療も和やかな時間となった。

 

 

──相手は、自分自身を映す鏡──

 

 

自分のいいところを互いに映しあえるほど素晴らしい関係はない──光を閉ざす盾になるより、影に希望を射す…そんな光でありたい。

 

会計を待つ間ぼんやりしていると、医療機関への苦手意識が晴れたのは、母に付き添って病院に通い続けた結果だと思い返してきた。母を見守り傍で佇み、言葉にし得ない息苦しさに疲れ果て、ただただ時間ばかりが過ぎては焦っていたこともあった。でも、そんな最中にも、熱心に診てくださる医師、看護師、リハビリ士のみなさんに出逢えたことは、これまでの視点を変える大きな収穫だった。

 

今なら、医療の道を志す動機が湧くのに充分な情熱を蓄えているような気もするが、これから受験を乗り越えて、6年の学部を終え、インターン時代を乗り越えると…それから現場に出て世の中の役に立てる時間はあまりにも短い──ぼくにはやはり、これまで積み上げてきた非科学的なアプローチでこの経験をカタチにして世界を癒す道を行くのが定めであるに違いない。

 

注射してもらった痛み止めで指がいうことを効かない1日。こんなときは家事をしながら、ぼくが世の中に役立てる方法を頭の中で考えよう。

 

そして今日はクリスマス。甘いものでも持って、母に会ってこよう。

 

今年もあと1週間となった。母の付添いを含めて、残り2回の通院でようやく締めくくり(嘆息)。

 

 

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