主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

【いま、この胸の奥にあるような気持ち】

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2017年12月18日

 

インフルエンザによる発熱も、誕生日だった昨日も朝から平熱に戻り、その後、変動はない。まだ少し頭がふらつくけれど、日常に早く戻るためにも少しは身体を動かそうと、「また」、料理をしてみた。

 

下拵えから始めておよそ2時間──。

 

初めて作った鍋いっぱいの牛スジ煮込みは、なんだか優しい味がした。

 

1時間ほど茹でこぼした牛スジをザルにあげると、その途端に憶えのある「旨み」の香りが一気に台所を包み込んだ。

 

 

──「嗚呼」──

 

 

反射的に感嘆の声を漏らした。

 

それは、これまで数え切れないほど、様々な形でこの旨みを口にしてきたことを伝える知らせだった。

 

珍しく、すべて冷凍の食材を使ってみたけれど、仕上げの段階でやはり気になって、思いつく。

 

 

──大根の茎と皮を入れてしまおう──

 

 

味噌汁にでも使おうと既に刻んだ状態で保存していたそれを鍋に流し込む。さらに、よく煮込んでおいた大根も添えることにした。

 

今日は塩のままでいただいて、明日はきっと味噌、明後日は間違いなく赤だしを混ぜるはず。

 

こうした煮込み料理を母は作らなかったから、いよいよ我が家も、ぼくの代で革新が始まろうとしているのか?

 

しかし…食べているのは一向に、ぼくだけなのだが(遠い目)

 

 

料理に着手したころ、ケアマネジャーより、変わりない母の元気な様子が伝えられる。習字の時間に、ぼくに宛てて綴ってくれたそうだ。

 

「浩介 おたんじょうびおめでとう」

「がんばってください」

 

未だ見ぬ我が子や孫にこんな風にしてもらったら、いま、この胸の奥にあるような気持ちになるのだろうか?

 

──母から「おめでとう」と伝えられてこんなに嬉しかったのは、いつ以来だろう?──

 

もう、昔のことなんて思い出せない。

 

だから、今日のことを、いつまでも憶えておくことにしよう。

 

47年前の今日、誕生の日から一夜明け、仮死状態で産まれ生還し保育器に入れられていたぼくを、母は何を想って見つめていたのだろう。

 

本当のことなんて、きっとどこにもない。本人にさえ、胸の奥にあるその気持ちを言葉にするなんてできない。

 

だから想像するんだ。

 

その営みこそが「ひとを愛しむ」ということなのかもしれない。

 

 

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