【二度とは来ないそのときのために】
2018年1月8日
三層に連なったグラデーションの夕焼けを見るのが好きだ。最近は、この景色を、施設の東の窓辺から、母とぼんやり見つめている。
──なんの感情も覚えないひと時──
こうした瞬間もまた、人は自ずと〈幸福〉を感じているのだろう。
厳しい寒さが迫る季節、特に今年は前倒しで大寒を思わせる厳冬がやってきている。高齢になると、まるで自然の一部に帰るかのように、環境の変動に敏感に寄り添うようになる。母もまもなく85歳。女性の平均年齢には未だ届かないとはいえ、いつ何が起きても不思議じゃない。
そしてもう一つ、逃れないのが「誤嚥」の可能性。そこから肺炎を起こすパターンが高齢者にはつきまとう。
──無理な延命はしない──
そう確認しあってはいるが、叶うことなら、終の瞬間には、家族で揃って見送りたいと願っている。
この一年、母が自宅を離れてから、ぼくの暮らしには、いくばくかの隙間ができた。
──時間・空間・睡眠・孤独──
けれど、心のなかのざわめきは、また違う次元へと移り変わっただけで、収まる気配がない。
──いまできることを──
直接的な関わりが薄まってきたこの一年の間も、常にそう思って取り組んできた。
──これから先、何ができるのか?──
──二度とは来ないそのときのために──
「遣り残しなし」と豪語する母の人生を完遂させることを、頭の片隅に常に置いておきたい。
悔やむことのないそのときをお互いに迎えられるように。
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