主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

【ぼくらはこんな今を選んだのか?】

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2017年8月25日

 

午前11:25──。

 

予定より少し遅れて、母の迎えが到着した。

 

今朝は、見送るだけだったのだが、昨日の受診時に処方された三ヶ月分の薬の一包化が薬局で間に合わず、薬を受け取ってから追って施設へと向かうことにした。

 

せっかく寄ったので、ケアマネジャーと面会しつつ、一時帰宅の感想などヒアリングをお願いした。

 

 

──ふたりだけで暮らしていくのは、不可能──

 

 

それが素直な実感だった。

 

認知機能が衰えてしまった今では、いくら策を講じても、人に頼る前に行動にでてしまう。立ち上がり、歩行にもみまもりが必要な状態で、ぼくに声をかけてさえくれればお互いに安心なのに、それがもうできなくなっている。

 

それゆえに、センサーを四方八方に取り付けているのだけれど、母の行動すべてをカバーできるわけではない。

 

昼間は家事をしながら母の相手をすることもできる。そのぶん、これまで通り夜中に仕事をすればいい、と思っていたけれど、環境が変わったせいもあるのだろう。施設では起きることのなかった夜中に何度も目を覚ましてはトイレにひとりで向かってしまう。

 

作業も、そして睡眠も遮られる。気晴らしにのんびり風呂に入るなんてことはもちろんできない。

 

 

──だれか、もうひとり──

 

 

複数で在宅介護ができる状況にある人は少ないのではないだろうか? なかには老老介護という場合もある。介護に限らず、子育てだって同じだろう。シングルマザー、シングルファーザー…核家族化されて久しく隣近所との交流もない現代では、気安く頼れる人はいないに等しい。

 

 

──ぼくらはこんな今を選んだのか?──

 

 

ぼくの独り言のような話題にも和かに付き合って下さるケアマネジャーと、ときに冗談を交えながら、今後のことについて改めて確認を取り合った。今回も、100言わずとも意思の疎通が取れる方が担当してくださり、母はとても幸運だと改めて思った。

 

認知機能が衰えても、朗らかで陽気な母は、ここでもまた人気者らしい。

 

今日は戻るなり、よくして下さっている入居者の方から「おかえり」と声が上がったそうだ。

 

 

──帰る場所が増えていくなんて、素晴らしい──

 

 

盆踊りの季節だったからか、施設で憶えた東京音頭を家でも歌いながら、手振りだけして笑っていた。歌詞が間違っていたのは、もちろんご愛嬌。

 

子供のころは、みんなこんな風にして細かいことにはこだわらず、全力で楽しんだもの。

 

 

これでいい。

これでいいんだ。

 

 

母はまた、住み慣れた森のなかへ帰っていった。

 

 

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