主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

【あの日この日】

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2018年3月24日

組織に属してこなかったぼくにとって、春はもう、出逢いの季節ではない。

当然、別れの季節でもない。けれど、春にはなぜか、振り返りたくなる出来事がたくさんある。

そんな記憶の断片を象徴的に彩るのが、桜だ。芽吹くたびに、花を咲かせるたびによみがえるシーン──。

母の不調も、そのひとつになった。

桜の花が咲き誇るころ、大腿骨骨頭置換手術を受けたのは、もう5年も前の出来事になる。昨年も、年始からこの時季を過ぎるまで入院していた。

昨日、写真を整理していると、偶然に、退院直後の写真に目が止まった。あれから1年足らずの間に、随分と母の老いは進んだように感じられる。


──もっとできることはなかったのか?──


今を生きることしかできないぼくらが、過ぎし日のことを思い返しても仕方のないことなのだけれど、こうして振り返る時間もまた、後悔しか残らない介護者にとっては必要なことなのだと、この5年半という時間のなかで感じてきた。


──折り合いのつかない気持ちを、どうにかやり過ごすために──


今がある喜びと同じくらいに、過ぎた日々のことが悔やまれる。

何も変えることができなかったから、今、こうしている──その現実を見つめることが、ぼくの責任。何かを変えようとしてこじ開けようとしたいくつかの扉は、硬く閉ざされたまま微動だにしなかった。


──それでよかった──


そう、それでよかったんだ。

今、こうしていることが、決して嫌なわけじゃない。止めどなく溢れる埋めようのない空虚さは、誰のせいでもないし、何をもってしても補えることじゃない。ひとりこうして思索に耽り、メランコリックな時間を過ごすことも、「このぼく」にとっては悪くはないはず。

しかし、2度とは来ない「今日」という日を、幾度となく無駄にしてしまっていることだけは、もうなしにしよう。

老いてゆく母を目の前にして、そんなことが許されるわけがない。

そう断言した途端に、どうしたことか?


──胸が張り裂けそうだ──


ぼくが綴る音楽は、ぼく自身をも救えるだろうか?

今夜もまた、どこからともなく現れる音楽を待ち侘びよう。たとえほんの束の間でも、きっと何もかも忘れさせてくれる。


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