主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【夏の夕暮れ】

2017年8月6日 リハビリと称して、懐かしい横浜の街を松葉杖をつきながら闊歩した昨日の疲れを未だ覚えながら、蝉の声が響き渡る夏らしい空をぼんやりと見上げている。 ──ひとりの時間を楽しみ過ぎだ── 5年もの間、こんな時間は味わえなかったのだし、…

【夢に出るほど縁遠い】

2017年8月3日 「まだあの人は夢にででけえへんは」 母は夢の話になると、よくそう口にしては、いつもの笑顔を添えて大きな声で笑った。 続いて父のことを引き合いに出すから、ぼくは毎度のように 「おかげで長生きさせてもらっているじゃん」 と返して…

【さよなら介護ベッド】

2017年8月2日 母の今後の介護プランについてケアマネージャーと話し合いを続けて、昨日、方針が決まった。 今回の方も現実と照らし合わせながら慎重にアイデアを出して下さる。そしてありがたいのは、今のぼくの状況をとても考慮していただいたこと。 …

【父の遺言】

2017年8月1日 母が入所している老人保健施設があるこの場所は、江戸時代には城内だった場所らしい。陽当たりのいいこの丘でお殿様らがある嗜みに興じていたのだという。どおりでここは、他とは違う空気が流れているわけだ。ここへ来ること自体、苦にな…

【母へ。ありがとう。】

2017年8月1日 膨大な時間を費やした。 何の目的もなく見返りも求めずに、ただただ必死で取組んだ。いや、無心といった方がよいのか? 今の気分を強いて言葉にするならこうだ ──満ち足りている── あれから30年、積み上げてきたすべてを一曲に注いだ。そ…