主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【大仕事を終えたら、いつだってぼくは、パンが食べたいのだ】

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2021年4月27日

「頑張ったご褒美に」なんて思考があるうちは大成しない・・・と、かつてどこかで読んだ気がする・・・そんなことを、昔にも書いた記憶がうっすらある。

自愛の心を高めて行くことがこの危機を乗り越えるためには欠かせない──そう結論した2020年の気づきを、今日は躊躇わずに実践する。この宇宙で、唯一、思い通りになる(はずの)存在である自分自身が、こんなとき、自分に優しくせずにどうする? という、究極の言い訳(または屁理屈)を見繕って、作業に着手した。

しかし、この状況下に買いには出かけたくない。

そこでピンッ!と思い出す。使いかけの全粒粉があることを。

過去に何度かチャレンジした全粒粉100%のパン。肝は、酵母と水分量、そしてオーブンの温度設定および焼き時間であることを何となく掴んで以来、作っていなかった。その頃に仕入れた粉が、しばらく眠ったままになっていたのだ。今日の業務は、指示待ちの時間がある。その合間に挑んでみることにした。


嗚呼──もう言葉にし得ない出来栄えだ。


水分が粉とほとんど同量ゆえ、一次発酵が終わった後の生地は、ふ饅頭を思わせるトロトロつるつるの姿になる。ボールに材料を入れたら、ゴムべらを使ってまとめていくだけで、手ごねして硬くしないのもコツのようだ。おかげで手もほとんど汚れない。二次発酵前、バター代わりにオリーブオイルを入れて全体を馴染ませたら、もう一度発酵モードに設定したオーブンへ戻す。完了後、締まりのない怠けもの体型のようなユルユルな生地が出来上がるが、多めに入れた酵母のおかげか、気泡が中から生地を押し返し、チューイングガムのような膨らみがいくつか発生していた。

打ち粉を少々。手につかない状態を確認して適当に6分割して丸め、先日ヒビが入って現役を退いたガラスの急須に付属していた茶こしで粉を振りかける。このときちょうど、比較的低温に設定したオーブンの予熱が完了した知らせが鳴なった。

焼き時間も30分と、いつもより短め。途中、芳ばしい香りが立ち込めたころで庫内の様子を確認すると、自然に裂け目が現れ、勝手に期待感を演出してくれていた。

焼き上がり──塩を抑え目にしたゆえ、そのままだとだいぶ物足りないが、オリーブオイルと岩塩を合わせたものを塗っていただくと、もう欲望を抑えられない味わいとなる。

この後の出来事は、言うまでもない(反省)

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