主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【自分を責めているわけじゃない】

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2017年8月15日

 

今年も梨が届いた。

 

唯一付き合いのある親戚から毎年いただくこの梨は、千葉県・八千代産のたぶん極上品。農家の方に直接頼んで手配してくださっているらしい。

 

去年もこの季節、母は入院していたから病院に差し入れたのだけれど、今年はちょうど退所前訪問で一時帰宅したので、母が集めていたガラス食器に盛って出してみた。

 

 

──梨1/2個、ペロリ──

 

 

あっという間に食べてしまった。

 

 

──よかった──

 

 

とにかく水分豊富で程よい甘味と歯ざわりを楽しませてくれるこの梨をいただくと、毎年、お盆の季節がやってきたことを感じる。

 

本来は、父の遺骨が眠る本家の墓参りにいくべきところだが、なんでも極端な母が司法のもと関係を絶ってまで自由を得た手前、この時季にはなかなか行きづらい。

 

その代わり、仕事などで京都へ赴いた際はなるべく寄るようにしている。

 

前回は、《LIVE BONE》劇場版を京都で上演したあとに向かった。冬の始まりの季節だった。

 

母は「自分のために」と、東京に墓を建てたけれど、それはもちろん、ぼくたち兄弟のためでもあった。

 

墓石の背には母の名前ではなく、ぼくら二人の名前が刻まれている。

 

高校生のころの建立の日のことは今でもよく憶えている。持て余していた自意識が邪魔をしたのか、恥ずかしさ余ってふてくされた表情のまま収められた写真が今も残っている。

 

 

──30余年前の日──

 

 

母はそのあと、南米に旅に出た。

 

 

「これで何があっても安心やわ」

 

 

万が一のときに備えて自分の墓を建てて地球の裏側まで旅にでる…何事も、準備万端な母だったのに。

 

 

──もしも、もう少し早くに異変に気付いてあげられたら──

 

 

母にあんな事故を起こさせずに済んだかもしれない──。

 

 

決して自分を責めているわけじゃない。

 

ただ…介護は、どうしても後悔ばかりが募ってしまうものだから…

 

それだけのこと。

 

 

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