2017年6月19日
明け方、駐車場から自宅まで300メートルの距離を松葉杖を突きながらひとり歩く。
ちょうど一年ほど前のこの季節までは、病院へ診察に向かうため、母はこの道を歩いていた。地球の裏側まで旅したこともある母が、この300メートルを15分もかけて休みながら進む様は、観ているだけで辛かった。
故障により不自由を強いられる身になってみると、ひとつの動作だけで激しく体力を消耗していくことがわかる。両腕の腕力を頼りに身体を支えながら歩くのは、未だ筋力が十分にあるぼくでさえ持久力が試される。数歩行っては休む…それを繰り返していると、母の苦痛をこれまでより深く想像できる気がした。
──あと一歩──
それが出せないときがある。だから危険な体勢で動作してしまい、そうやって事故に繋がっていく。
考えてもできなくなるときが必ず来るから、身体に覚え込ませたいと必死だったけれど、身体が言うことをきかなくなるときもある。
──ぼくにもいつかそのときがやって来る──
そのとき、どんな風にこの日々を想い出すだろうか?
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