主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

主夫ロマンティックのひとりごと

【黒い昼食】

2018年8月11日こうして改めて写真でみると、色合いがないことがよくわかる。ひじき和え十六穀米入り玄米きのこ炒めのせ豆腐(バルサミコ酢とピーナツ油で味付け)米酢とオリーブオイル入り国産大粒納豆水出しミネラル麦茶暦は立秋を過ぎてはいるもも…

【Who are you?──だからこれでいい】

2018年8月8日またもや破損した母の義歯修理のため、母が30年間以上お世話になっている横浜の歯科医院まで付き添った1日──。台風の方角へ向けて車を走らせるだなんてよほどの事情がない限りしないが、義歯がない=食事がうまく摂れないことにも通じるた…

【父の墓参り2018夏】

2018年8月6日今日は月に一度の通院日。この医院に通い始めたのは2014年11月からだから、次に冬を迎えると、もう丸4年になる。病院にあまりいいイメージのなかったぼくに、その違和感を和らげてくれたのは母だった。付添いで向かったあちこちの病院で、…

【旅立ちの支度】

2018年8月5日今年も千葉に暮らす親戚から、八千代の名産、梨が届いた。母に食べさせたいと、よく冷やしてから剥いて、持っていく準備をしたけれど、昨日、義歯破損の報告が入ったことを思い出して、一旦様子を確認するまで見送ることにした。梨を剥い…

【父の命日2018──長生きできる幸運】

2018年8月4日今年もまた、この日を迎えることができた。そう、まさに「できた」のだ。今日という日は、誰にでも与えられるわけではない。母の不調と、自分の年齢と経験による物事の捉え方が変化してきたせいか、47歳を迎えたこの1年は、生命について考…

【恍惚のとき】

2018年8月2日事務専用机を設けた。これまではスタジオ内で並行して行っていたのだけれど、実に能率が上がらない──事務を始めると空間は書類であふれて作曲に手がつけられなくなり、作曲に集中するため書類を整理すると、今度は事務が滞ってしまう。──…

【鶏肉とひよこ豆のトマト煮】

2018年7月24日前夜は、朝を超えて昼間際まで歌詩を綴っていた。iPhoneで曲を再生しながら、標準アプリの「メモ」に思いついた言葉を書いていく──。所有しているすべて端末間で自動的に内容が同期されるため、どの端末で書いても、録音に使用するマシ…

【真夏の或る日に】

2018年7月22日お伺いするのに、4年もの時間がかかってしまった。かつて横浜みなとみらい地区にあった巨大シェアスタジオ=ハンマーヘッドスタジオ 新・港区の建築設計部(そんな名前の部署も部活も存在していたはずもないが)のみなさんが2014年に手…

【カロリーアップしたクリームチーズのディップ】

2018年7月20日Zoneに入った──。映画《ストーカー》のセリフではない。クッキング・ハイである。こうなると、暴走が止まらない。明るくなるまで、5〜6品作り出すようなことのないように、今夜は、クリームチーズのディップだけ作ることにした──しかも…

【遂に野菜を蒸し始める】

2018年7月20日真夜中に、ごそごそ台所で主夫ロマンティックに変身──。夜更けに買物に出ると、普段あまり寄る機会のない業務スーパーのネオンサインが目に留まった。──久しぶりに牛すじ煮込みでも作るか?──冷凍食品をまとめ買いするにはとても便利な…

【新のお盆2018】

2018年7月16日新のお盆が終わろうとしている。母が東京に建てた墓のあるお寺さんでは、この時期、例年法要が行われている。広い仏殿で心を鎮めるのもいいが、どうもぼくは、こうしてひとりを選んでしまう質らしい。京都で大家族の長男に嫁いで、日々…

【この上なく誘惑に満ちた背徳の嗜み】

2018年7月15日これは祝福か? それとも呪いか?──見事だ──ビギナーズラックというよりも、これは、育まれた才能が開花してしまった瞬間というに相応しい出来栄えではないか?出来立ての湯気が立ち込めるパンを頬張る──。なぜだか、禁断の扉を開けてし…

【初めての食パン作り】

2018年7月15日暑い──。──この天からの恵みを活かす術はないか?──まわらない頭でそんなことをぼんやり思い浮かべていると、冴え渡るアイデアが浮かんだ。──そうだ! パンを焼こう!──といっても、焼いたことはない。だが、随分前に、道具と材料を揃え…

【大人の野菜カルボナーラ】

2018年7月11日トレーニングを始めて、ますます摂取カロリーを気にする毎日を過ごしている。何も、ガリガリを望んだりムキムキを目指したりしているしているわけではないが、せめてこの、長年に渡ってまとわりついた体脂肪とはおさらばしたい。願わく…

【ぼくのなかに棲む母】

2018年7月11日午後、いつもの指定した時間帯に荷物を受け取った。ドライバーの方と二言三言交わして挨拶をする──そうした日常の何でもない瞬間に、気づくことがある。──ぼくのなかに、母がいる──ぼくのすべては、母からできている。母がしてきたこと…

【母の献身に応える術】

2018年6月29日28時──。作り置きの白菜の浅漬けサラダを仕上げて後片付けを終えたところでこの時間になった。リハーサルからの帰り道に、疲れた身体に鞭打って買物に寄った。今夜からの食事をつくりおきたかったのだけれど、寝不足には勝てず、帰宅後…

【自分を映さなくなった鏡】

2018年6月29日昨夜も眠れずに朝を迎えた。眠れなかったのは、自分の甘さも原因のひとつであることは自覚している。その甘さを、あのとき誓った瞬間に断ち切れていれば、すべて他人事で済んだ出来事だった。しかし、昨夜は、不覚にも、あまりに不愉快…

【ただそこにいること】

2018年6月26日真夏を思わせる陽気に満たされた1日──仕事の現場下見の帰りに、母に会いにいった。ユニットに入り、職員の方に挨拶をすると、最近の母の様子を知らせて下さった。「毎日歌われていて、歌詞の意味も教えて下さいます」〈誰も寝てはなら…

【もう一度、音楽のある暮らしを】

2018年6月21日母が入居している特別養護老人ホームは、全部屋個室となっている。ならば、その環境を活かして、母に再び、音楽のある暮らしを──入居前からそう決めていたことを、ようやく実行した。当初は、使いやすいように、ポータブル型のCDラジカ…

【言葉にならない意思表示】

2018年6月15日梅雨らしい雨降りの日──母に会いに行ったのは、10日ぶりだった。──明らかに気持ちがざわついている──全力を出し切ったあとに襲い来るいつもの波が押し寄せてきている。これまでとは比べものにならないほど、今の波は穏やかであるのだが…

【母の笑顔があるうちに】

2018年6月5日いくつかの大仕事を終えて、久しぶりに母に会いに行った。今日はぼくのことを思い出せなかったようだけれど、居室に入るなり手を上げて迎え入れてくれた。「やぁやぁ」いつもの母だった。この前一緒にみた《サーカス》のこと、市原湖畔美…

【果たすべき約束がある幸運】

2018年6月4日6月3日──市原湖畔美術館での、ひびのこづえ展パフォーマンスプログラム、無事、閉幕。未だ経験のない、ながいながいロードを終えた気分だった。そのエンディングに相応しい極上の上演と、まるで映画のエンドロールを眺めているような助…

【願いが叶えられた日】

2018年5月23日今日は朝から緊張していた。──母と《サーカス》を観に行く──子供帰りが激しいこの頃、本番に支障を来すような迷惑を母が起こさないか? または、途中で予想もしていないような体調不良が起きないか?あらゆるケースを想定しながら、母に…

【新しいたぬき】

2018年5月22日明日、一緒に楽しむ予定の森山開次《サーカス》鑑賞へ向けて、母の様子を伺いに行った。今日は午後の昼寝の時間だったのか、母は入居以来、初めて居室で過ごしていた。先に渡したラジオを聴きながら、ベッドに寝転がって寛いでいた。明…

【森山開次《サーカス》2018年再演 初日】

2018年5月19日初日の幕が開けてしまえば、ぼくの出番はおしまい。あとは、劇場の音響チームと作り上げたこの音空間をお客さんと一緒に楽しむだけ。自身も3年ぶりにこの作品を観て、新たに思うことがたくさんある。子供のころ、母に連れられていった実…

【食卓には楽しみが待っている】

2018年5月15日買物に向かうときは、愛用のレトロなデザインのリュックとエコバッグを持参して出かける。カゴいっぱいにまとめ買いした品品を手際よくカバンに詰め込むも、長さのあるものは、なかなか収まりにくい。この5年半のあいだに、何度かこんな…

【大切なことを見逃さないように】

2018年5月13日ひびのこづえ×島地保武×川瀬浩介《FLY、FLY、FLY》──。ひびのこづえ展開催期間中に予定されていた4回の上演がすべて終わった。この10年ほどの間に手がけてきたダンス作品のなかでは、音楽も含めて比較的難解な要素を多分に含んだ内容と…

【残念なサラダの記憶】

2018年5月11日秋葉原から帰宅後、今日の1食目を──。今宵のブツ切り野菜の山盛りサラダは、レタスをベースに、セロリとネギを追加した。小学校のとき、家庭科の実習で作ったサラダ──ぼくが割り当てられた班があまりに粗末なサラダしかできなくて、とて…

【無常であるがゆえにめぐりくる「今」という時】

2018年5月11日やや挙動不審になりつつあった録音データ記録用ハードディスクを新調するために、いつもの「少し遠回り」なルートで秋葉原へ向かった。それは、初心を忘れないようにするためでもある。──ところが──CBS/SONY時代から30余年見つめていたS…

【母が伝えようとしてくれている何かを】

2018年5月10日母が入居している特別養護老人ホームへの道中は、とても緑ゆたかな道のりが続く。──いつかこんな自然のなかに暮らす日がくるかもしれない──今あることがすべてではない──可能性は無限にあるのだと自らに言い聞かせながら車を走らせた。…