【これからゆく道】
2020年5月3日
「まっすぐ歩けるはずはない」
山あり谷あり、さらに落とし穴あり──真当な教育も受けず、確かな後ろ盾もないまま、音楽、そして美術の道に進む選択をしたぼくが歩んできたのは、そんな道だ。
──あれから30年も経つのか──
もしかしたら、道さえもなかった、ただの荒野だったかもしれない。だからいま、この危機に直面して、まさに明日の暮らしが危うくなっている現状においても、絶望する気配は「未だ」感じていない。無論、こうした危機に襲われることを予測できていなかったぼくだから、明日の自分のことさえ何も確かなことはないと十分に自覚しておくべきだろう。ゆえに「今日、この瞬間においては」という但書を添えておく。
──どうやってこの危機を乗り越えるのか?──
その解を導き出す手がかりを探るため、近ごろは1929年アメリカの株価大暴落が引き金になった世界大恐慌について学んでいる。
そして今日、ある大学の講義録にめぐり逢った。
《1929年アメリカ大恐慌とアーサー・ミラー ─2008年のアメリカ発金融危機との関連から─》
http://www.ritsumei.ac.jp/ir/isaru/assets/file/journal/21-3_00fOikawaMasahiro.pdf
及川正博(立命館大学 国際関係学部 名誉教授)
2019年5月1日 大学発表による
アメリカ現代演劇の研究家で、特にこの講義録で語られているアメリカの劇作家、アーサー・ミラーについて多くの論文を手掛けられているという。
繰り返される歴史が物語っているように、そして今まさにその発端が起きているように、この危機の最中、対立と分断は避けられないのだろう。そしてその先に、より多くの犠牲を払うことになる争いさえも現実になり得る可能性は否定できない。
──これからゆく道は、どんな道なのだろう?──
新たな一歩を踏み出すには、いつも不安と恐れが付きまとう。もしも、はじまりのときと同じように再び荒野の只中に佇むことになったとしても構わない。ぼくの願いは、何からも侵されることはないのだから。今は新たな選択をし、前に進むとき。そしてこれから先、ぼくは望む日常を生きる。
──自らの選択を肯定するための唯一の方法──
それは「望んだ今日を手にする」ことである。
この30年の間、この道で迷い、恐れを感じたとき、ずっとそう期して選択を重ねてきたのだと、今、薄暮の空を窓越しに見上げながら改めて思い返している。
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