主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【永遠の光と暮らす】

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2018年12月22日

友人への贈りもののため、ながらく眠っていた拙作《シーン・オブ・ライト:AEON》を発掘した。このシリーズは、現在まで6作品あって、そのうち多いものでは、エディション3まで増版している。振り返ると、既に10点ほどがどなたかのもとで暮らしていることになると想像すると、とても光栄に思う。

久々に目にした拙作…その多くは2009年の台北でのアーティスト・イン・レジデンスで記録した写真を素材としてコラージュし、フォトアクリル化したもの。東京に戻ってきてから再度作り直して、完全なるコンディションとなった。

元々は映像作品だった本作だが、すべて光の写真で構成していたため、そのワンカットを切り出して写真作品にすることを目指した。

滞在中、台湾で出逢ったある女性が、自分のイングリッシュネームについて語って下さったことがあった。


──永遠──


その意味で、「AEON」と自ら名付けたと話して下さったとき、思わず胸が高鳴った。

その瞬間にしか存在しない光の情景を写真に永遠に封じ込める──それがこのシリーズ名の由来となった。

台北で過ごした10週間に目撃した光──それをぼくの心象風景として再構成したのがこれらの写真である。

その光を見つめてから、まもなく10年が経つ。2019年のチャイニーズニューイヤーには再訪したかったが、今のところその夢は叶いそうにない。けれど、あの光は、ぼくのなかで永遠に瞬いている。この作品が残っているのは、そのたったひとつの証明でもある。

友人に差し上げた1つを除いて、手元に残った2つを自宅に飾ってみることにした。母の寝室だった部屋には、母のためにひとりで折りあげた千羽鶴が残されている(埃を嫌ってジップロックのコンテナに入れたまま──これもまたAEONといえるかもしれない)。その隣にそっと飾った。母が大切にしていた鏡にうまく写りこむようにして…。

職能は、やはりこういう形で発揮されてこそ意味を成す──。

飾った途端、この家の空気が一変した。それは、ぼくの心が変わったとも言い換えられるだろう。


──それが、アートのちから──


贈りものという、作品と再会するには最高のきっかけをいただいたことに、深く深く感謝している。こうして日々、拙作を身近に感じながら、目指す彼方へと歩んでいこう。


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