主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

【亡き父の誕生日に誓う】

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2018年12月19日

今日は亡き父の誕生日。LIVE BONEを初演した次の日、2010年12月19日から、こうしてここへ来るようになって9年が経つ。

大きなイチョウの木の下に、父の墓はある。思えばこの季節はすっかり葉が散っているが、もう少し早ければ、美しい紅葉が見られるのだろう。その代わりに、今日は綺麗なツツジの花に出逢った──たったそれだけのこと──そう、それだけのことで、なにかが変わることもある──そう思えた気がした。

いつもはここにきても、特別何も語ることもなく、ただ墓前に手を合わせて静かな時間を過ごすことがほとんどだったが、今日はたくさん話をした。


──誓い──


願いごと、というより、あれはぼくの宣言だったのだろう。ながらく陥っていたある状況から抜け出すことを、亡き父にも誓った。

そんなとき、今日は初めて思い浮かんだことがある。


──ぼくの後は誰がここを守るのか?──


そんな先の、まだ何もわからないことを考えても仕方がなかった。ぼくに今できるのは、今日の誓いを全うすること。そのことだけを考えたい。それが実行できれば、自ずと望む「今」を創ることができる──そう信じて、今年最後の墓参りを終えることにした。

今回も、父が愛したアサヒビールではなく、brewdogのクラフトビールを選んだ。名前は「native son」──アメリカ英語で「自州出身の人」という意味らしいが、ビール好きの父に贈るお供えとして、そしてそんな父のもとへやってくるぼくにとっても、とても相応しいネーミングだと思った。

どういうわけか、8月の命日に供えた同じbrewdogのPUNK IPAが暮石の隅にそのままになっていた。掃除のときに置き忘れられたのか、それともビールと分からず処分にこまったのか? 理由は定かではないが、持ち帰るのも流儀に反するような気がして、再度お供えし、盛大に父の誕生日を祝うことにした。

今年も年の瀬が押し迫っている。この時季ここへ来ると、1年の無事を何より幸運なことだと痛感する。それは、ぼくの生後間もないころ、48年も前に先立った父の加護のおかげだと、いつも感謝している。

帰ろうとして空を見上げると、はるか向こうに真昼の月が浮かんでいた。それは、ぼくをそっと見守るように、つぶらな瞳の形をしていた。


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