主夫ロマンティック

独身中年男子=川瀬浩介の介護録──母が授けてくれたこと

【創造性を取り戻す】

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2018年10月17日

随分と長い間、〈丁寧に暮らす〉という目標を掲げている。上手くできているときもあれば、全く駄目なときもある──今は、だいぶ目的に向かって順調に進んでいるようだ。

来年の2月を迎えると、台湾にアーティスト・レジデンスに向かってから、ちょうど10年になる。あのとき、創作だけをしていられる3ヶ月という時間を与えていただいて、日々を異国の地で過ごしながら実感していたのは、東京での現実から離れて、あるときから「当たり前」になった〈何かに追い立てられる暮らし〉を、自分の外側から見つめることだった。そしてやはり、この〈丁寧に暮らす〉ことの重要性を日々の暮らしの一瞬一瞬に覚えていた──あの時間の流れ方は、何より心地よかった。


──ならば海外で暮らせばいいのか?──


そう考えることはあったけれど、現地の皆さんの日常を観察するに、そうではないことにも気づいた。


──そこに暮らせば、どこでも日常が現れる──


場所や環境は確かに影響を及ぼすが、それが全てではない。どこにいようと、望むあり方に自分を導いていける──そう信じて東京に
戻った。


──あれから、もうすぐ10年になる──


そのうちの半分以上の時間を、介護者として過ごしてきたかと思うと、やはりそれは、途方もない時間を──命を──注いできたことを痛感する。その時間は大いなる試練であったことに変わりないが、この6年という時間で感じた想いは、これからぼくが生きるために欠かせない頼もしいエンジンになるにちがいない。そしてこれからも、この日々を過ごしたからこそ得られる気づきが連続していくだろう。そう確信している。

一方で、失いかけたものがある。


──大いなる創造性──


この間に仕上げた仕事は、どれも誇れるものばかりだ。しかし、かつて経験してきたような、自分自身から溢れ出る驚きや発見が足りない。これまで培ってきたものをアップデートしているに過ぎず、「できなかったことがやっとできるようになった」という満足感を覚えるところで停滞していたように思う。


──創造性を今、取り戻そうとしている──


そのために、改めて、〈丁寧に暮らす〉ことを心がけている。


──生きることそのものが創作となるように──


2年前、ベルリンで過ごした10日間に感じたことだ。


アーティストはなぜそこにいるのか?
創作とは何か?
なぜ作品を発表するのか?
作品とは何なのか?


──生きること──


それがすべての扉を開く、鍵だ。


そして今日もまた、仕事の合間に料理を──作ったそばから全部食べ尽くしてしまいそうな欲求に駆られる、アボカドの醤油漬けだ。といっても、味わいは和風には程遠い。決め手は最近愛用しているモルトビネガーに漬けられたケイパー。ワインビネガーやバルサミコ酢も入れてはいるが、このケイパーが旨味を増してくれている。熟しすぎない状態のアボカドをただ切って、オイルやビネガーと和えるだけ。実に簡単だ。

こうした直接創作に関係なさそうな時間を過ごしていると、不思議なことにさまざまと思索を巡らせる。これも、母に代わって台所を任されてから気づいたことのひとつだ。そのとき、台湾で感じていた想いが再び呼び覚まされた。


──あれからだいぶ時間が過ぎた──


新しい何かが始まろうとしている。

そんな前兆のようなものをひしひし感じるこの頃である。


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