主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

【母の献身に応える術】

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2018年6月29日

28時──。作り置きの白菜の浅漬けサラダを仕上げて後片付けを終えたところでこの時間になった。

リハーサルからの帰り道に、疲れた身体に鞭打って買物に寄った。今夜からの食事をつくりおきたかったのだけれど、寝不足には勝てず、帰宅後、プロテインだけ摂取したところでソファに沈んでしまったらしい。


──何時間眠っていたのだろう?──


26時ごろ目が覚めて、洗濯を始めた合間に、白菜、大根、にんじん、ネギ、そして旬を迎えて値ごろになったみょうがを刻み始めてしまった。

塩もみした白菜を深い野田琺瑯に敷いて、上から次々と材料を投入。米酢、ぽん酢、みりん、酒、てんさい糖に、オリーブオイル、ごま油、さらにはアーモンドオイルまで混ぜ合わせてみた。いつも思い付きに適当な味付けながら、琺瑯のなかで一晩過ごした食材たちは、実に見事な甘酸っぱい味わいに仕上がってくれる。

今日は最後に、先日、あるホームパーティでいただいてから真似してみたデーツを添えた。もちろん、冷蔵庫にしまう前には、野菜の各階層に深々と沈めている。

ひとりでいただくにはなかなかの量だが、2週間は保存できる。無論、味は変化していくが、それもまたよい。

かつてはこんな真夜中に、4〜5時間かけて5〜6品を作り置いていたことを振り返ると、その後、暴走したのも当然の結末と言える。


──そうすることしかできなかった──


高度経済成長期に結婚して、兄とぼくを授かり、そして育て、6年前に倒れるまでの55年という永きに渡り家族を守ってくれた母の献身に応える術は、他には思い浮かばなかった。

離れて暮らさざるを得なくなってから、1年と半年が過ぎた。この家に、母が不在であることが当たり前のことになってしまった。

こうしてひとりで過ごすぼくは、いったい何のためにこの家を守るのか?

理由はいくらでもあったはずなのに、こうして黙々と台所で手を動かしていると、つい余計な思考が働き始める。

今では限られてしまった母との時間を大切にしよう。母は今も、ぼくに何かを伝えようとしてくれている。


──今の母から気づきを見いだせるかどうか?──


そっと、母の傍らで、無言の言葉に耳を傾けたい。


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