2018年4月21日
新作パフォーマンス=ひびのこづえ×島地保武×川瀬浩介《FLY、FLY、FLY》
世界初演、無事に完遂。
前夜、衣装を身にまとったリハーサルはたった一度きりだったけれど、ワールドクオリティのダンサーには、それだけで十分だったようだ。
ぼくと言えば、昨夜のリハーサルで音響機器のトラブルがでて、準備不十分なまま当日を迎えたため、本番直前まで気持ちが落ち着かなかった。
正午過ぎ、現場入りしたあと、即座に気になった音の仕上がりを変更するため作業を開始。全編に渡って調整しなおして、本番用の音声ファイルを作成し、さらにライブ用システムの動作チェックを…。
──間に合うだろうか?──
仕込みが完了するのは、開演直前になりそうだった。他から声も掛けられそうにないほどの形相で作業に集中していると、業務連絡が届いた。
お客様を乗せたツアーバスの渋滞による到着遅延が発生したらしい。
──開演を遅らせる必要がある──
期せずして、作業時間に猶予が与えられた。
──今日もまた、見えない大きな力が、ぼくをそっと支えてくれた──
満足のいく音も出せた。
遥々遠方まで足を運んで下さった方にも喜んでいただけた。
想い描いたクライマックスも再現できた。
そして…。
──この責任を果たせたことが何よりだった──
終演後、パフォーマンスプログラム初日にお招きしたお客様たちと、エントランス前の芝生の広場でレセプションパーティが催された。和やかな空気のなかで戯れていると、ご来場いただいた男性の方から声をかけられ、感想をいただいた。
「この音楽は、100年後にはクラッシックになる」
ながきに渡ったこの緊張を解きほぐす言葉だった。
けれど、誰も知り得ない未来のことより、同じ時間を過ごして、こころを通じ合えたことの方が、ぼくには嬉しかった。
──今日、出逢えることを誰が知っていたのか?──
夕刻、みなさんをお見送りして、先ほどまで背に受けていた西陽を眺めると、湖畔に、見事な夕陽が舞い降りていた。
ひとりその光に抱かれながら、今こうしていることの幸運を噛み締めていた。
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