2018年3月7日
次に逢うまでは、これが最後──。
いつだってぼくは、そう思い浮かべながら、「またね」と口にしている──次が必ずあると信じて。
そんなぼくの心の揺れを母は察したのか、甘いもの満載の朝食を終えると、珍しくぐずり始めた。
「施設に帰りたくない」
事故や怪我、病気が続いたこの5年半の間に、母の感情は薄まっていった。まるであらゆる痛みや苦痛から逃れるように…。
ケアマネジャーとの面談で「今月の目標を立てましょう」と促されても
「やりたいことはすべてやった。やり残しなし」
と、いつもの決め台詞を放っては、ひとり嬉しそうに高笑いするばかりだった。
そんな母が、今朝、「帰りたくない」と、要望を口にした。話したことはすぐに忘れてしまうことも多いのだけれど、今日の希望は憶えていてくれるだろうか?
いつか、そんなときが訪れたら、また、ここで暮らそう。
──明日のことは、誰も知らない──
思いもよらなかった明日を、引き寄せるから。
もう少しだけ、待っててね。
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