主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【恋?】

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2018年1月26日

 

最近の母は、少しだけ発する言葉が変わってきた。

 

「ここに居ると楽しいからすぐに時間が経つ」

 

退屈でやることがないとボヤいていたころもあったが、そう思うと、これは実に大きな変化だ。

 

よく観察してみると、母の周りにはいつも誰かがいて、構って下さっている。それは、母が関西弁で言うところの「アホなこと」を口にしたりして周りを笑わせているからなのだろうが、生まれてこのかた一人住まいをしたことがない母には、何か特別なものに守られているのかもしれない。

 

少し前に、悪気なく放った一言が他の入居者の方を怒らせてしまったようで、しばらくひとり離れた席に移されていたのだけれど、最近では、男性入居者の方と何やら可笑しな会話や今で言う「変顔」を見せ合って楽しんでいる様子をよく見かける。

 

 

──その様をみて、ぼくが子供のころのことを思い出した──

 

 

事故でながらく学校を休んでいた友達の家に、毎日のように見舞いに行っていた。丁寧に、お母様にお電話をして、見舞いに行っても構わないか確認していたような記憶もある。

 

部屋のドアから顔を出したり引っ込めたりして、変な顔を見せて笑わせていたのが楽しかった。ほとんどベッドに横たわっていたけれど、時にはご両親と一緒に食卓を囲んで、ジュースやお菓子をいただいたこともあった。みんなで並んで写真を撮ったような気もする。

 

 

──たぶんぼくは、彼女のことが好きだったんだろうな──

 

 

そんな気持ちさえわからなかったころの出来事──。

 

 

あの男性も、母のことが好きなんだろうか?

 

 

──恋?──

 

 

母の気持ちはどうなんだろう?

 

毎日が楽しいだなんて、まるで初恋のようだね。いいことじゃないか。

 

これからどんな風に言葉も表情も変わっていくのか、ちょっぴりたのしみになってきたよ(笑)

 

 

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