2018年1月26日
毎日窓を開けて空気を入れ替え、仏壇に手を合わせるだけになって久しい母の寝室からみた夕暮れ時の西の空。陽の当たらない場所は今も残雪が目立っている。
夜になって、仕上がった洗濯物を届けるため面会にいった。就寝時間も近づいていたので、寝る前の薬が夜勤の職員の方から運ばれてきた。
先日行った母への出張散髪の出来が好評だったようで、入居者の方からも声をかけられたりしたのだが、今夜は職員の方からも訊ねられた。
「こうすけさんがカットしたんですか? 上手ですね。評判もいいんですよ」
(こうすけさん?)
今では中学校の同級生女子からくらいしか呼ばれなくなったその呼び名だが、21世紀に入って知り合った方からそう呼ばれるのは、どこか不思議な感覚があった。
いつからか、下の名前で呼ばれるのは照れくさくなった。そして、もはや旧式の思考ゆえ、家族か大切なひと以外から呼ばれることにも、未だに若干の抵抗がある。海外に行っても「KAWASE」と呼ばれることを好んでいるほどだ。
もちろん、親が与えてくれたこの名前を、ぼくはとても気に入っている。
「一番呼びやすいのを選んだんや」
母はそう教えてくれた。
それ以上に感謝したいのは、何か、意味を込めたような名前にならなかったこと。そんなプレッシャーに、ぼくは耐えきれないだろうから。
友達と下の名前で呼びあっていたのは、やはり中学生のころまでだったろうか? それもごく一部の間だけだった気がする。高校生のときはどうだったか? そもそも卒業以来、再会したことがないから、もはや知るすべがない。
しかし今日、名前を呼ばれて特別驚いたくらいだから、それはきっと随分と久しぶりの出来事だったのだろう。
──嗚呼、また余計なことを思い出した──
かつて近くにいてくれた大切だったひとたちもまた、名前では呼ばない方ばかりだった。妙なあだ名をつけられたりされたなぁ…どうりでどれもうまくいかなかったわけだ(遠い目)
いい名前だから、ぜひ皆さん、声高らかに呼んでください。
──こうすけ!──
嘘です。冗談です。
そんな風に呼ばれたら、所構わず、この上なく、照れます(赤面)
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