【母を初めておんぶした日】
2018年1月25日
母の帰宅前訪問と併せて新規介護サービス二社との契約を終えた15時過ぎ、ようやく食事の時間になった。
生活スペースである二階に上がれるかどうか?
わずか数日の帰宅とはいえ、その間に通院やデイサービスに出かけるため、毎日昇り降りする必要がでてくる。
今日、久しぶりに自宅内で介助した印象では、脚力そのものに大きな変化は感じられなかった。けれど、その日のコンディションに母の体力はかなり左右される。
──そんなときのために──
おんぶのスペシャリストとしてのヘルパーさんがいらっしゃるとのことで、早速今日、面会し契約した。
福祉用具担当者からは、大人用のおんぶ紐を提案され、それも来たる一時帰宅に向けてご手配いただくことになった。
サンプルで持ち込まれたおんぶ紐を使って母を背負うヘルパーさんをみて、念のため、自分でも試してみようと思った。
──ぐぅ──
立ち上がるときにはかなりの負荷が掛かるが、背負えてしまえば、どこまででも歩いて行けそうなほどの安定感がある。言うまでもなく、それは器具の効果だけではない。
──母は軽くなっている──
あえて、股関節を傷めた方の脚を軸にして立ち上がった。
──こんな日がじきに来ないとも限らない──
そのために始めたトレーニングで身体を壊すとは情けない。去年は結局、初夏から初秋まで松葉杖暮らしだった。
──もう一度、正しいやり方で鍛え直そう──
母のためだけじゃない。自分の脚で、1日でもながく立つために──。
今日、およそ5ヶ月ぶりに帰宅した母は、かつてここで過ごしていたときと変わらず、よく喋り、周りを笑わせていた。でも、まるで予定されていたかのように、少しずつ言葉も不明瞭になってきている。それでも可笑しなことを口にしては和かに笑う母をみると、自然と穏やかな気持ちになる。
いつかのころは、それが何よりも苛だたしいこともあったというのに。施設にお世話をお願いせざるを得なくなった今、ようやく適切な距離感が保てるようになったのだろうか?
──理由なんて、何もいらない──
その瞬間をお互いに大切に思って過ごせればそれでいい。
──望むのは、ただそれだけ──
こんな風に、憎まれ口を叩けるのは、家族の間だけ。当たり前のように交わしていた他愛もないやりとりが、今日はやけに懐かしく思えた。
#主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン6 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #老人保健施設 #入所中 #特養 #入所準備 #男の料理 #料理男子 #料理中年 #作り置き #帰宅前訪問 #希望 #望み #契約 #介護サービス契約 #川瀬浩介