【博士の愛した数式】
2018年1月4日
ずいぶん前に手に入れたままだった小説を、いよいよ読むときがきたらしい。
──言葉がでない──
序盤から引き込まれ、飽きるところは一切なかった。柔らかで淡い心理描写と純粋無垢な数学の神秘と美をモチーフにながら、この世の理りと人びとの真理を語る展開に、とにかく心酔させられた。
しかし、この体験の強度を表現する言葉が、今にぼくには思い浮かばない。
興奮冷めやらぬまま映画版も味わってみたが、読者の心のなかにしか浮かび得ない細やかな情景の移ろいを2時間以内で具象するには無理がありそうだと感じた。
いずれにせよ「記憶」、そして「今を生きる」というテーマは、ぼくの目の前にある暮らしと重なり、見事に心を掴まれた。
文庫本の楽しみとして、巻末の「解説」があるが、本作のそれもまた秀逸で、ところどころに込み上げてくる箇所があった。小説の誕生秘話を綴ったエッセイ集もあるようなので、そちらにもぜひ目を通したい。
そしていつか、小川洋子さんにお逢いしたいと思った。きっと数学のように、神秘を纏った素直な佇まいをされているに違いない。
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