主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

【乙女の時間】

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2017年11月21日

 

この編みものセットを母を連れて買いに行ったのはいつだったろう? たぶん、ちょうど1年前くらいかな? 車椅子を押して好みの毛糸を選びに出掛けていったことを思い出す。

 

時間もあることだし、頭の体操のためにも何か手先を動かすことをしてみてはどうだろう? と、昔よくやっていた編みものを勧めてみたけれど、数日やってはくれたがすぐに飽きてしまって、以来、埃が被らないようにしまったままになっていた。

 

昨日、母の面会にいくと、最近、施設で母とよくお話して下さっているHさんが、母の隣で編みものをされている様子を見かけた。

 

「もう残りの時間が少ないから、何か少しでもやりたいと思ってね」

 

そう冗談めいた口調で話して下さった。

 

「母は洋裁学校を出ていて、編みものもよくしていたんですよ」

 

と応えると、

 

「なら一緒にやりましょうよ」

 

と、母を誘ってくださった。

 

ならば早速、と、今日、母のもとへ一式を届けることにした。

 

「そろそろ寒くなるし、マフラーでも編んでみてよ」

 

1年前と同じように、そうお願いしてみたけれど、母といったらいつもの調子で和かに応えてくれた。

 

「ぼぉ〜っとしているのが、好きぃ(関西弁のイントネーションで)」と…(嘆息)

 

目標クリア型人生を過ごしてきた母には、もう遣り残したことが何もない。全部を叶えてしまった母が今さら編みものなどするはずもないけれど…予想もしない意外なことが起こらないとも限らない。

 

なぜなら、最近の母は、入居者の方で気になる男性がいるらしいのである(Hさん情報)。

 

ぼくのためにではなくて、その方のために編んでみたらいいのに、ね。

 

 

──母は子供に帰る前に、今、乙女の時間を過ごしているらしい──

 

 

「そんなこともあったね」

 

と、いつか想い出話をすることは叶わないかもしれないけれど。

 

 

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