主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【初めにいた場所に戻るその日まで】

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2017年10月30日

 

〆切に追われていたことを理由にして、母の面会からまた遠のいていた。

 

「そろそろ着替えがなくなるころ」

 

そう案じていた昨日の午後、施設から連絡が入った。

 

受けると、洗濯物の催促ではなく、リハビリ中の事故の報告だった。事故といっても、歩行訓練中に尻もちをついた程度とのことで一安心。

 

日常の活動のなかでの避けられない事故については責任を問わないという、どの施設でも取り交わされる契約にサインもしているし、立って歩けば転ぶ可能性があるのは当然ゆえ気にはしていないのだが、目が充血しただけでも報告義務を果たしてくれる徹底ぶりには頭が下がる。

 

無事の連絡を伝えられたとき、とっさに「子供の仮病か?」と想像してしまった。しばらく顔を出せなかったから、構ってほしくなったのだろうか?

 

今夜、洗濯物を取りにいって様子を伺うも、相変わらず元気そうだった。ぼくの冗談にもよく笑ってくれるし、予想通り、転んだことは忘れてくれていた。

 

どうかこのまま、穏やかに。初めにいた場所に戻るその日まで。

 

 

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