主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【左手に乳母車、右手に・・・】

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2017年7月25日

 

比較的楽に電車移動ができるようになってきたものの、未だ松葉杖生活が続いているある夜のこと。静まり返った都会の真んなかの駅で階段を登ろうとしていたとき、とても印象的な光景を目にした。

 

左手に乳母車、右手にお子さんを抱きかかえた状態で一気に駆け上がっていく母親のその様に、自分の母の姿を重ねた

 

 

──みなこうして育ててもらったんだな──

 

 

父が先立ち、京都から東京へ移り住むことを決めた母は、手続きのため、まだ幼かったぼくを抱えて何度も何度も往復していた。せっかく取った指定席も、ぐずりだすぼくをあやそうとほとんどを無駄にしたらしい

 

 

「あんたが泣き止まんからデッキに立ちっぱなしやったわ」

 

 

そんな風にして時おり昔を懐かしむように話してくれた。

 

晩年に差し掛かり少しずつこの浮世で背負った荷を下ろしていく母は、身体の不自由さとは対照的にとても自由に映る

 

 

──どんな気持ちなんだろう?──

 

 

化粧と毛染めを止めることも、オシャレをしなくなることも…オムツも施設に身を置くことも嫌がっていた母なのに…もう何も気にならない「ふり」をしてくれているのだろうか?

 

脳の機能が衰えても、子を守ろうとする母親の本能は、永遠に消え去ることはないのかもしれない。

 

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