主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

【自分の家族】

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2017年7月25日

 

昨日、久しぶりに母の面会に行った。

 

受付時間終了間際にいったものだから、母はもうすっかりベッドに横になっていた。布団に包まり顔だけだして丸くなっている様子を見ると、なんだかとても可愛らしく見えた。食欲も出てきているらしく、二タ月前の入所時よりだいぶ表情も柔らかくなってきている。

 

顔を合わせるなりいつものセリフが飛び出した

 

「いやぁ、あんたが来てくれると嬉しい(関西弁のイントネーションで)」

 

「そんなことを言ってくれるのは今も母しかないからこちらも嬉しいよ」

 

と、ぼく──。

 

夫婦や家族、兄弟が話すことがなくなっていくのは、異なる時間を過ごしているからに他ならない。今の母と交わす話題と言ったら、体調を訊ねること、兄のこと、ケアプランについて…と、数少ない──。

 

絵に描いたように見事な甲斐性なしの放蕩息子は、ずっと実家に居座ってきた。そんなぼくに向かってこれぞ正論とばかりに

 

 

「自立しなさい」

 

 

と諭す、考えることのないまま生きてきたであろう非考の部外者に

 

 

「家族が一緒に暮らせること以上の幸せはありません」

 

 

と真理で応戦し続け、気づけば早いもので46年が経っている。

 

その時間は、ぼくと入れ替わるようにしてこの世を去った父と母が過ごした日々よりも遥かに永い。もしかすると、未だ巡り会うことのないぼくの支えより、ぼくは母と過ごす時間の方が長くなるのかもしれない。

 

持ち帰った洗濯ものを洗って仕上げるついでに、剥がれてきたアイロンプリントの名札を付け替える。

 

「家を守る」という務めが消えてなくなりそうなこの時代に、母が淡々とこなし続けてきたその役割の重みを身を以て味わう度、安心とはこうして気づかないほど自然なかたちで母が生み出してくれていたのだということを知る

 

 

「生まれた家族を失う恐怖を和らげるために、ひとは自分の家族を持つんだ」

 

 

いつか誰かが言っていたそんな言葉を、どういうわけだか、それからずっと憶えている。

 

 

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