主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

【どこへいってもひとりじゃない】

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2017年6月29日

 

母の退院からおよそ二タ月が経ってから初めて、循環器内科の外来受診があった。

 

同じ医療グループの介護老人保健施設に入所中につき、病院へ向かう際も素晴らしい連携で付添いもとても楽。お隣まで僅か2分程度の移動にも送迎車を出してもらえる。

 

ハイルーフ化されたハイエースには車椅子のまま乗降りできるリフトが装備されていて、母は運転手さんに

 

「これ、好きなのよ。楽しいねぇ」

 

といつも陽気に応えては和かにしている。遊園地のアトラクションに乗っている気分なのだろうか?

 

だいぶ高齢になってからぼくを産んだから(1970年当時でまもなく38歳のころ)、遊園地やら映画館やらに引率するのはさぞ体力を使ったと思うのだが、案外、母の方が楽しんでいたのかもしれない。

 

病院へ着くなり、ぼくに異常事態が発生

 

──腹痛──

 

このところ便秘気味で、トイレに駆け込むもすんなり解決とはいかない。受付に母を預けたまま時間だけが過ぎていき、焦りもあって結局改善しないまま母のもとへ戻ると、見覚えのある方が母と談笑されていた──先の入院中、同じ病棟にいらした患者さんで、年の頃はぼくと同じくらいか少し若い男性である。

 

その方も退院されて、今日は外来受診にいらしたそうだ。ご挨拶をすると母の様子よりもぼくの松葉杖姿を案じていただきとても恐縮してしまったが、何より、ぼくの不在のなか母をみていていただけたことが嬉しかった

 

──どこへいってもひとりじゃない──

 

母は本当に幸運である。

 

主治医との診察は相変わらず和やかで愉快な時間だった。仏様のような表情をされているせいのあるのだろうか、看護師の皆さんの話によると

 

「先生の顔を見るだけで元気になる患者さんが多いんですよ」

 

という。

 

母も顔を合わせるなり

 

「やぁ先生、お久しぶり! 会いたかったぁ〜」

 

と満面の笑みで声をあげながら先生の両手を握り、再会を喜んでいた。

 

徐々に痩せてきていること、そして去年から指摘されていた心臓の症状が少し進行していそうなことなど確認をしていただき、現状を改めて認識した。

 

 

母はそれを聞いても特に困惑することもなく

 

「うちは心臓で旅立つ家系だからいいのよ」

 

と。

 

 

ぼくがずっと観てきた相変わらずの母が今日も健在だった。

 

 

処方も変わらず、次回の検査予約をして迎えの車を呼んだ。

 

施設へ戻り洗濯物を回収したあと、遅めの昼ごはんをひとり食べ始めた母に

 

「わがまま言わないでしっかり食べて太りなさい」

 

と諭してから家路に就いた。

 

建物の裏手にある駐車場から、大きな広がりのあるこの周辺の空気感を味わって想う

 

──こういう広々したところが、やっぱり母には向いているな──

 

この場所に引き寄せられたのも偶然ではないと、最近ここへ来るたびよく思う。

 

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