主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

介護

【母の誕生日とパンと婚姻届】

2019年1月17日今日もまたこの日を無事に迎えられた幸運を噛み締めていた。今日は、母の86歳の誕生日──周りはそのことを伝えようとするも、本人はそのことを思い出せなかった。まるでそれは、生まれたばかりの赤子が、その瞬間が自分の誕生のときであ…

【時代の潮流に逆行する日々】

2019年1月9日「最高のパフォーマンスには睡眠が大切」「非効率なマルチタスクはやめてシングルタスクに」「朝の時間が人生を変える」今どき、世の中はこんなメッセージに溢れている。48歳を迎えたばかりのぼく自身の体験として、このいずれの提案も共…

【餅の代わりに正月パン】

2019年1月5日丸い──。それだけで素晴らしい。年末、うっかり間違えて、薄力粉を買ってしまった。薄力粉100%で食パンが作れるかと挑んだ元旦だったが、型から取り出すときに完全崩壊…見事に失敗に終わった。使うあてのない薄力粉…。ホットケーキを作る…

【静けさのなかへ──2019年初夕陽】

2019年1月1日元旦を迎えた──。前日約束した通り、今日も母に会いに行った。到着時刻は、昨日よりも40分ほど遅れた午後5時丁度。母の居室から臨む空はまたしても、見事な色気を放っていた。「今日はなんだかよく笑うね」「あんたの顔が面白い(笑)」「…

【独りで迎える初めての元旦の朝】

2019年1月1日午前6時40分──新年を迎えた歓喜に酔いしれた街は、まだ寝静まっている。昨夜のぼくは今朝のこの時を待ち侘びながら、早々に床に就いた。こんな風にして、元旦の朝を独りこの家で迎えるのは初めてのことだった。そして、ここから初日の出を…

【主夫ロマンティック初仕事2019】

2019年1月1日大晦日の夕方から自宅にこもって、せっせと新年のための作り置きを行なっていた──母に最初に教えてもらった2品を含めて4品が完成。・鶏肉と野菜のトマト煮・茄子の中華風肉味噌炒めぼくが主夫ロマンティックに初めて変身した日、母に手ほ…

【介護者が口をつぐむわけ──夕陽を見つめて】

2018年12月31日夕刻、日が落ちる前に母を預けている施設に着いた。──母の居室からみた平成最後の夕陽──あまりの光景に、言葉が見当たらなかった。この秋、夏場から5週間の入院生活を経てこの特別養護老人ホームに戻った時、母の部屋が東側からこの西…

【生まれ変わる──6年分の大掃除を終えて】

2018年12月31日2012年10月15日、午前11時30分ごろのことだった。相変わらずの昼夜逆転状態でその時間まで眠っていたぼくは、聴いたことのない巨大な物音で目が覚めた。同時に、音を扱う身として、その音が何を物語っているのか、瞬時に察知した。覚…

【胡麻と胡桃のイギリスパン】

2018年12月24日今日も早朝から起き出して、活動開始。クリスマスにパンを焼きながら大掃除の続きを実行したいと、数日前から考えていたのだ。朝のルーティンを終えたあと、温めた豆乳で割ったエスプレッソを飲み干して、早速パン作りに入った。材料…

【モノに宿る記憶──介護者生活の節目に】

2018年12月23日たしか12月に入ってからだと思う。何かに取り憑かれるように、毎日少しずつ掃除を始めたのは。特にこの1週間ほどは、超朝型の生活周期に切りわかっていて、それまで眠る時間だった午前4時や5時に起きだしては、まるで作務でも行うかの…

【光、あれ──Let There Be Light】

2018年12月20日珍しく明け方から目覚めて活動的に動いた1日──。主に早朝から大掃除をしていたのだが、今日のノルマを果たしてもまだ時間に余裕があった。そこで、いつもは夕方に向かう面会に、午後の早い時間から出掛けることにした。運転中は、世界…

【永遠の光と暮らす】

2018年12月22日友人への贈りもののため、ながらく眠っていた拙作《シーン・オブ・ライト:AEON》を発掘した。このシリーズは、現在まで6作品あって、そのうち多いものでは、エディション3まで増版している。振り返ると、既に10点ほどがどなたかのも…

【朝から煮込んだ大根】

2018年12月19日昼夜逆転状態がひどいことになっている。あまりに仕事に集中し過ぎて、完全に体内時計が狂ってしまった。最近は夜に目覚めて午後にねむる──そんな周期に陥っている。それを改めようと少しずつ調整を重ね、今日は早朝に起き出して、昨…

【亡き父の誕生日に誓う】

2018年12月19日今日は亡き父の誕生日。LIVE BONEを初演した次の日、2010年12月19日から、こうしてここへ来るようになって9年が経つ。大きなイチョウの木の下に、父の墓はある。思えばこの季節はすっかり葉が散っているが、もう少し早ければ、美しい…

【誕生日に誓って──この3年を終えよう】

2018年12月17日48回目の誕生日の朝をひとり静かに迎えた。去年はインフルエンザに見舞われた誕生日だった。今年は健康で迎えられ何よりだったが、数日前から創造のなかに没入していたため、ふと日常の感覚に目覚めたとき、あまりに不眠不休で連続作…

【これを愛と呼ぶのか?】

2018年12月15日午後、窓を開けて家の中の空気を入れ替えながら、食事の作り置きを始めた。このところ絶やさず作っているキノコとホウレン草の煮浸しには、最近の手間の掛け方通りに昆布と鰹節の合わせだしをとって仕上げた。ホウレン草を湯がくため…

【夕陽のような朝陽のなかで】

2018年12月14日眠る前に30分ほど読書をしている。この時間に読むのは決まって小説だ。昨夜はだいぶ作業に煮詰まり、目立った成果もなく、明け方、風呂に入った。前日はこのあと、驚異的な直感が働き一気に歌詩を書き終えたのだが、今日は何も起こら…

【家族に甘えた1日】

2018年12月5日家族に甘えた1日──。たくさん泣いて、ときどき笑って…。数々の非礼を詫び、これまでのわだかまりを解いた。その支えに報いるために、もう一度、前へ。#主夫ロマンティック #介護 #介護者 #介護独身 #シーズン7 #kawaseromantic #母 #特…

【最後の贈りもの】

201811月29日「息子さん、何されてるんですか?」「さっ・・きょ・・・」「んっ?」「さっ・きょ・く」面会時間終了目前に施設へ着くと、前夜、母の担当だったという方からこんなエピソードを聞かせていただいた。その日も、ぼくのアルバムをかけて…

【昆布と鰹のあわせ出汁】

2018年11月27日今日はジミ・ヘンドリックスの誕生日──。そんな「ロック」の日に、ぼくと言えば、起きたそばから昆布と鰹のあわせ出汁を取っていた。一晩水に浸け置きした日高昆布を煮立たせないように弱火で火を通し、30分間ほど過ぎたところで火を…

【最後の契約(2)──感謝のエール】

2018年11月21日「どこのどなた様ですか?」最近の会話の始まりはいつもこうだ。そんなときは、部屋に飾ってある名前入りの写真をみせる。すると、一時的ではあるが思い出せるようだ。写真を見ると、少し目に涙を浮かべたような表情で、母は顔をくし…

【最後の契約(1)──終の住処へ】

2018年11月21日定員に空きが出たとの報告が母が入居している特別養護老人ホームから連絡が入ったのは、1週間ほど前のことだった。春から同施設のショートステイ枠を利用していた母だが、遂に「終の住処」と呼ばれる場所へ正式に入居することになった…

【高速道路のうえから救急車を呼ぶ】

2018年11月14日母の体調も落ち着いてきたので、長らく中断したままだった義歯の修理をいよいよ再開することになった。遥々、車で1時間以上をかけて、母の掛かりつけである横浜の歯科医院に向かった。出発前、母を車椅子から助手席へ移乗させる際、少…

【魂の浄化──映画《ボヘミアンラプソディ》から呼び覚まされる想い出】

2018年11月9日公開初日の映画を観に行ったのはいつ以来だろう?もう夜も更けた時間だった。〈ボヘミアンラプソディ〉を突然に聴きたくなって、Spotifyから居間のテレビスピーカーに接続して再生を始めた。──そういえば、今日が公開初日だ──観たい映画…

【当たり前のことを当たり前に行うこと】

2018年11月9日脳に覚えこませてしまった悪習はなかなか取り除けない──今週は、買食いばかりしていた。食事を作るのも億劫になると、その気持ちの隙間に、ジャンクフードを腹一杯を超えて、「はち切れんばかりに喰らいたくなる欲望」が割り込んでくる…

【今も腕のなかにある小さな希望】

2018年11月5日暗雲垂れ込める──今日の空模様は、まさしくそんな雰囲気を漂わせていた。厚い雲が空を覆い、光を遮っている。こんな日には、どうしても朗らかな気持ちにはなれないものだ。雨も降り出した。鳥は木陰で羽を休めている──人も自然のリズム…

【人は一人では存在し得ない】

2018年11月5日昨夜から昆布と煮干しを水に浸して、久々に丁寧に出汁を取った。先月、珠洲への出張の際にいただいた、あご出汁のお椀がとても美味しくて、また自家製出汁に興味が湧いているこの頃である。あご出汁も自宅で取りたいのだけれど、まずは…

【大切なものはいつもそばにある】

2018年10月29日退院以来、初めて母に会った。西陽の差し込む部屋に移って、母は和かに音楽を聴いていた。施設の方に様子を聞くと、退院してからよく食べるようになったらしい。嚥下機能向上のためのリハビリも入院中にしていただいていたから、その…

【なんの不安もなく街を歩く休日】

2018年10月26日給料日直後の金曜日──わかりやすい理由がそうさせたのだろう。街は異様なほど賑わっていた。そんななか、ぼくは1人、新宿の映画館へ。──2001年宇宙の旅──2001年のリバイバル上映で初めて劇場体験をして以来の映画館での鑑賞。そして今…

【休めのサイン、再び】

2018年10月22日母の退院の日──午前中は自分のための定期検診に向かって、先週の検査結果を踏まえて主治医と今後の方針を検討した。そのときから鼻がぐずり気味だったのだが、きっと鼻炎のせいだろうといつもの処方薬を飲んで対処した。しかし、一向…