主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

主夫ロマンティック

【その気持ちに憶えがある】

2017年10月18日 言葉では言い表せそうにない感情があふれそうになっている。 またしばらく時間をおいて母の面会に行った。そんなに時間は経っていないはずなのに、痩せて元気のなさそうな母の表情をみて、胸が痛んだ。 話し相手には困らない。献身的…

【好きにさせてあげればよかった】

2017年10月5日 今夜、家中の注意書きをすべて剥がした。 仮に母がここへ戻って来られたとしても、もはやこれらは役目を果たさない。 改めて見返すと、異様にも思える。けれど、敗血症を繰り返したり、歯が次々と折れてしまったり…そうした出来事が続…

【その営みを何と呼ぶのか?】

2017年10月5日 母の面会に行った帰り道、秋らしいうろこ雲の向こうに浮かんだ満月をひとり見上げる。 ──七色の光を雲に映す── あの光が「月」だと知り得なかったころ、人の想像力はもっと豊かだったかもしれない。科学は自然の神秘を解き明かそうとし…

【気持ちのラベル】

2017年10月2日 96点──。 単純な足し算かと思いきや、正解は予め記されていて、「いくつ足したら数式が成り立つか?」という内容だった。 何問あるのかと数えていたら 「裏もあるんやで」 と答案用紙をペロんと裏返してみせた母。 なんと100問もあって…

【珠洲の栗】

2017年10月2日 15:00──。 目覚ましをセットしなくてもいい、そんな久しぶりの朝のはずだったが、目覚めると、時刻はすっかり夕暮れに差しかかろうとしていた。 未だ疲れの抜けないままの身体で台所に上がると、珠洲の地元の方からいただいた栗がある…

【何も思い出せない】

2017年9月28日 今朝の冷たい雨は、どういうわけか、何だか感傷的だ。 ──無意識にどんな記憶を参照している?── 何も思い出せない。 #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン5 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #老人保…

【母がそこに棲まう画】

2017年9月24日 敬老の日に撮影されたと思しき写真が母の居室にあった。 ぼくが旅に出ている間の様子であろう。こうして画像でみるとなおさら細くなったことがよくわかる。 それでも相変わらず、和かな表情だ。願わくは、自分も絶えずこうありたい。 …

【今にもぐっすり眠りたかった】

2017年9月24日 9:24──朝、二泊三日の一時帰宅を終える母にオムレツを作った。ぼく自身、日常的に食べなくなったからケチャップの買い置きはない。 添えたほうれん草に加えて野菜炒めも少しだけ差し出してみたけれど、またさらに咀嚼力が衰えたのか、…

【在宅介護を終えるとき】

2017年9月23日 24:17──。 母の洗濯物を洗って、1日の終わりをようやく迎えた。 今夜は深夜まで放送されていた演芸番組を母が見入っていたこともあって、だいぶながく時間を一緒に過ごした。夕方、母は静かにテレビを楽しんでくれていたので、夕飯の…

【さもそれこそが正義かのように】

2017年9月23日 10:00──。 ながいながい1日が始まって既に4時間が過ぎた。 早朝からいろんな音楽の映像をみせるもすぐに飽きて 「次はこれ観たい」 「もうこれ飽きた」 という問答を繰り返す──。 ようやく今になって母の朝食を支度したが、ぼくはちょ…

【ぼくらは言葉に頼りすぎた】

2017年9月22日 23:30──母を寝かしつけたあと、台所を綺麗にして、ようやく一時帰宅1日目を終える。 20:00──夕食を終えてからもアバドの演奏に母が興じているうちに、傍でせっせと作り置きを始めた。 ──鶏胸肉の蒸し鶏・鶏肝と砂肝の生姜煮・鯖の味噌…

【音楽の力を信じて】

2017年9月22日 母、帰宅──。 今回の一時帰宅中は、クラウディオ・アバド指揮の演奏会やオペラの映像を集中的にみせることにした。 音楽の力は凄まじく、日常的に会話が滞りがちでも、心に刻んだ旋律には今も呼応できる。 母が歌い出したら、まだまだ…

【母、一時帰宅前──人感センサー、設定確認】

2017年9月22日 母の一時帰宅を前に、各種配置したセンサーの再確認を。 前回の帰宅時に悩まされた居間の椅子から立ち上がりを知らせるために、新たに一基を追加して配置してみたが…どう設置しても、必要以上に鳴り響きそうな予感。 それでも、鳴らな…

【すべてを変えてしまうには「一瞬」で事足りる】

2017年9月19日 《WONDER WATER》3本の上演を終えてその夜に帰京し一夜明けた今日、早速、次回の珠洲でのパフォーマンスの打合せのため都心部まででた。 帰り道に少し寄り道したのは、六本木 ──あのARK NOVAが東京にやってきた── 2011年8月、東北の震…

【母こそ、今を生きている】

2017年9月14日 旅の前に、今夜も母の面会にいった──。 先日、施設のスタッフの方から伺った 「タヌキの置物がいつ喋り出すのか?」 という話題を出してみたけれど、母はそんな話しを自分がしたことさえ憶えていないらしい。 無論、それはどうでもいい…

【タヌキはいつか話しだす】

2017年9月12日 今夜も面会時間終了間際に施設に到着した。 今後の方針が決まってからは、母に事情を説明することもなくなったので、話題に困ることが多くなった。最近の面会は、洗濯物を届けにいって様子を聞いて、目にした記事や日頃体験したことを…

【幸福と幸運】

2017年9月12日 毎日眺めている西向きの台所に立ってコーヒーを淹れながら、すりガラス越しに射し込んでくる西陽をぼんやり見つめる。 ──ぼくの1日の始まり── こうした隙間の時間、このところ「幸福」について想いを巡らせている。 この一年ほど、ま…

【ぼくには、知る術がない──46歳、旧式】

2017年9月12日 4:44──。 1時間ほどつけ置きした胚芽米と胚芽大麦を土鍋で炊き始める。 「無洗米」という便利なものがあるのに、わざわざ米を研いでいるだなんて…。 手を動かさずして収入が得られない身分としてはなかなかスリリングな行為であるが、…

【あんたが私の生きがいや】

2017年9月6日 水泳、再開──。 自ら奏でる音の渦に朝まで呑み込まれ、その後しばらく気絶してから目覚めたあと、このあとの追い込み期間に一歩たりとも外へ出かけずに済むように、10日分のおかずを作り置きした。 粗熱が取れてすべての器を冷蔵庫にしま…

【帰る場所を、母に】

2017年9月5日 初秋の静かな夜、ここにこうして腰をかけると、この5年の様々なことが頭をよぎる。 寝静まる母の傍らで明け方まで料理を作り置いたあと、まだ夜が明けきらぬ薄暗いこの部屋で、淹れたての玄米茶で一服した日々のことや、母の突然の不調で…

【キャベツのカルボナーラ】

2017年9月5日 真夜中の静けさのなかに棲む調べを探しに、創造の森へ。 ──朝を迎えるまでのエンジン── キャベツのカルボナーラ。 #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン5 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #老人保健施…

【己に問うことを絶やしてはならない】

2017年9月5日 日常に流され忘れてしまいがちなことを、今一度思い出した夜。 ──いい再会だった── 望んだことも望まないことも、ぼくにはいつだって必要なことだけが起こる。 自らの幸運を改めて噛み締めながら、またいつもの朝を迎えた。 #主夫ロマン…

【大好きな秋が近付いてきている】

2017年8月31日 23時──。 歌録りを始めてから、およそ1日が経過した。 今日は秋を思わせる気候のおかげで、室内ヒートアップは免れた模様。 ──30℃なら心地よいくらいだ── ロックスター気取りで足元から胴体に向かってサーキュレーターからの風を当て…

【キャベツと蒸し鶏のカルボナーラ】

2017年8月31日 せっかく自宅で仕事ができる環境にあるのだから、どんなときでもきちんとしっかり食べたい。 ──キャベツと蒸し鶏のカルボナーラ── シンプルなカルボナーラもいいけれど、野菜も一緒に味わいたい。その欲求を満たしてくれるひと皿に仕上…

【朝顔──ぼくが憶えておくから】

2017年8月30日 今日は朝一番から、母の眼科受診の付添に向かった。 時間が早すぎて施設から送迎車がだせない時間帯だったので、三ヶ月ぶりに車椅子を押して隣の病院まで歩いて行った。 まだ股関節の状態も完璧ではなかったのだが、今日のところは強い…

【さよならコンロ、ようこそコンロ】

2017年8月29日 26年使い続けてきたコンロがとうとう働かなくなったのは、先週の母の一時帰宅直前のことだった。 「IHを出すしかないかな?」 母が留守の間に試した新メニューなど色々と作ってあげたかったのだけれど、使い慣れたガスレンジじゃないと…

【まるこいの、みつけた】

2017年8月25日 自宅の居間に置き去りにされた母のリハビリシューズ──。 履き慣らして丸こくなったこのカタチが、今夜なんだかやけに可愛く見える。 #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン5 #kawaseromantic #介護者卒業間…

【味気ないひとりの夕食】

2017年8月25日 22:00、遅めの夕食──。 買物に寄って帰宅したのは確か14時前。 まもなく手配していた荷物が時間通りに到着。これで今日の家事は終了した。 15時、汗を拭うまもなく腹を満たそうと、買ってきた格安オニギリを頬張った途端、寝不足の二日…

【(ニコ)】

2017年8月25日 顔──。 余っていた作品のための材料を使って即席で作った階段の転落防止用の柵。母はこれをやけに気に入った様子で、横を通る度、 「これ、ええなぁ」 と口にした。 何がそんなに気に入ったのか? 息子の細やかな気遣いに感心したに違…

【ぼくらはこんな今を選んだのか?】

2017年8月25日 午前11:25──。 予定より少し遅れて、母の迎えが到着した。 今朝は、見送るだけだったのだが、昨日の受診時に処方された三ヶ月分の薬の一包化が薬局で間に合わず、薬を受け取ってから追って施設へと向かうことにした。 せっかく寄ったの…