主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

主夫ロマンティック

【母の誕生日に】

2018年1月17日 1月17日──母の誕生日。今日で85歳。 「誕生日、おめでとう!」 「えぇ? 今日やったっけ? 忘れてたわ」 いつもの調子で始まる面会は、会話になるときもあればならないときもある。最近は顔を合わせると 「来てくれてありがとう」…

【ぼくが母のもとに授けられたわけ】

2018年1月11日 昨日の午後、森を見渡せる席を陣取って、老健/居宅2名のケアマネジャーとの面談が設けられた。この先、二タ月ほどの期間について、母の帰宅スケジュールおよび介護支援サービス選択を確認しあった。 場の空気といい、職員の皆さんの雰…

【肌触り──その場とそこにいる人たちが放つ空気】

2019年1月9日 特養老人ホームへの入居希望を出すにあたってそろそろ目を通しておくべきかと、手に入れたままだった本を開いた。 昨年亡くなられた日野原医師の解説を先に目を通すと、一言一句に深い同感の意を覚えた。寝床に移って早速本編を読み進め…

【Nくんと空豆】

2018年1月8日 空豆を皮ごと食べると美味しいと教えてくれたのは、小学校のクラスメイト・Nくんだった。 お家で八百屋さんを営んでいて、遊びに行くとオヤツに色んな野菜を食べさせてくれたけれど、今でも憶えているのは、空豆のことだけ。 茹であげら…

【忘却の砦】

2018年1月8日 いつ以来の雨だろう?── 。 見事な曇天の空を見上げながら、引出物に頂いた真新しい紫色の傘を差して、夕暮れ前、面会に向かった。 ──スポーツ新聞全紙── 正確には5紙だが、星野仙一が一面に上がっていたものすべてを差し入れた。施設に…

【二度とは来ないそのときのために】

2018年1月8日 三層に連なったグラデーションの夕焼けを見るのが好きだ。最近は、この景色を、施設の東の窓辺から、母とぼんやり見つめている。 ──なんの感情も覚えないひと時── こうした瞬間もまた、人は自ずと〈幸福〉を感じているのだろう。 厳しい…

【この呼吸が尽きるそのときまで】

2018年1月7日 この季節らしい澄んだ空に、東へ向かってゆっくりと雲が流れる朝、寒さに肩をすぼめながらひとり歩いた──。 朝陽を浴びて映し出された月が西の空に浮かんでいる。その様子をぼんやり見上げていると、このところよく思い浮かべていること…

【音楽のちから──ベイビー銀ちゃんたちから捧げる詩】

2018年1月8日 週末は面会が混み合うのであまり足を向けなかったが、そろそろ衣類が足りなくなるころだったので、陽が落ちる前に施設へ向かった。 到着すると大広間はがらんとしていた。母も居室で寝ているのかと思ったが見当たらない。職員の方に訊ね…

【顔も名前も知らない君へ】

2018年1月4日 大きな袋いっぱいに、母の洗濯物が今夜も仕上がった。しっかりアイロンをかけて整えるのは骨の折れる作業だけれど、整った様は無条件に美しい。 しかし、こうして家事に熱中している間、ふとした瞬間に現実を考えてしまう。 ──この時間、…

【博士の愛した数式】

2018年1月4日 ずいぶん前に手に入れたままだった小説を、いよいよ読むときがきたらしい。 ──言葉がでない── 序盤から引き込まれ、飽きるところは一切なかった。柔らかで淡い心理描写と純粋無垢な数学の神秘と美をモチーフにながら、この世の理りと人び…

【束の間のデート】

2018年1月3日 正月三が日──この時季らしさを表象する静けさを映したかのような見事な快晴の空が、連日、東京に広がっていた。 眠れぬ夜を過ごしようやく起き上がった午後、この空模様を確認して、この一年、習慣化している瞑想に入った。 目を瞑り、呼…

【困った。実に困った。】

2018年1月3日 いや、これはむしろ、「感激」というのが相応しいのかもしれない。 昨夜、ひっそりと炊き上げた十六穀米入り玄米…これが、あまりに旨いのである。 凡庸で退屈な食事の席では他のことに気を取られがちだが、この茶碗の前では目線を、意識…

【熱狂は心のうちにだけあればいい】

2018年1月3日 発熱〜咳〜インフルエンザ〜咳──。 11月下旬からおよそ一ト月以上も風邪にまつわる症状に見舞われていたため、この2年ほどでせっかく習慣化したコーヒーの嗜みが滞ってしまった。 三が日の静けさを噛みしめるようにして、今日からまた、…

【真夜中の土鍋米、6合半】

2018年1月3日 未明の真夜中に、米を炊く──。 「玄米にもち麦」という組合せが最近の定番になっていたが、今夜はだいぶ久しぶりに十六穀米を混ぜた。この赤飯のような色味が着いた仕上がりは、実に懐かしい感じだ。 「業務用」と謳われた十六穀米は、か…

【(心地よい関西弁で聞く)来てくれて、ありがとう】

2018年1月2日 こじらせた風邪も癒えてきたので、今日はいつもの森を抜けて母に逢いにいった。 「今日も来てくれるかねぇ…と話されていたんですよ」 部屋に入るなり、スタッフの方がそう声をかけて下さった。家族や子供がいたりすればこうもいかないだ…

【20,000回の奇跡】

2018年1月1日 目を閉じて、再び目を開く ──瞬きひとつ── 息を吐いて、もう一度空気を胸いっぱいに吸い込む ──呼吸ひとつ── それぞれ1日に2万回に迫る数を繰り返すと言われる「瞬きと呼吸」──。 当たり前のように、無意識に行っているそれらの活動も、…

【面会はじめ──2018年元旦】

2018年1月1日 昨日に続いて、元旦の無事を祝うべく、母に逢いに行った。 今日も元気に和かに、いつもと変わらぬ笑顔を浮かべていた母に、新年の挨拶を。 「今日は元旦だよ。挨拶しないと」 「えっ? 何やったっけ?」 そう言って、母はまた顔をくしゃ…

【初めてのひとりの元旦】

2018年1月1日 謹賀新年2018──。 #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン6 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #老人保健施設 #入所中 #特養 #入所準備 #男の料理 #料理男子 #料理中年 #作り置き #鯖の味噌煮 #蒸し鶏 #鶏…

【Untitled】

2018年1月1日 Too late childfood’s end.

【母、年の瀬の反省】

2017年12月31日 施設に行くと、いつもの席に母がいなかった。 「部屋で横になっているのかな?」 と思って向かうともぬけの殻──。 「リハビリか?」 「お風呂か?」 「席替えがあったのか?」 ──いろいろと可能性を想像しながら衣類の整理をして大広…

【歳をとったら身なりをきちんとせなあかん】

2017年12月31日 いつごろからか思い出せないが、居間に常設されたアイロン台。家事の負担を減らすために「アイロンだけはかけない」と去年までは固く誓っていたのに、遂にその誓いを打ち破り、いまではもう主夫を飛び越え、完全に「ママ化」している…

【過ぎたことは忘れろ】

2017年12月30日 年末年始のための作り置きを終えて、半年に一度の換気扇フィルター交換を済ませた。 この5年、フィルターを交換する度、目撃することができなかった母が事故を起こした瞬間のことを想像しては苦しくなっていたが、時間は、ゆっくりと…

【年越し準備の主夫ロマンティック】

201712月29日 クラクラの身体に鞭打って、夕方から主夫ロマンティックに変身。どうにか年越し準備を終えた22時(嘆息) #主夫ロマンティック #介護 #介護者 #在宅介護 #介護独身 #シーズン6 #kawaseromantic #介護者卒業間近 #母 #老人保健施設 #入…

【通院納め──ボーダーライン】

2017年12月28日 年に一度の緑内障検査で、今年の通院納めとなった。 肝心の検査結果は、「右目=ボーダーライン」の判定。 眼圧がで正常で一部に初期の緑内障の疑いがある「正常眼圧緑内障」との診断。これまでの倍のペースで、一年に二度の検査を進…

【音の棲むところへ】

2017年12月27日 先週の歯科受診付添いは、久々の遠出と全介助が必要となってから初めての一人きりでのサポートだったため、戸惑いと焦りがぼくを手間取らせ、予想以上の疲労を招いた。 今日は、先週の失敗も踏まえて落ち着いて介助できたが、母を施…

【寂しさを温めるための記憶の一片になるように】

2017年12月27日 母の歯科治療、第2弾。 ──ただいま受診中── 道中、先週と同じ曲を繰り返し聴きながら、1時間ほどのドライブ。会話の記憶はなかなか維持できなくなっているけれど、歌はまだ憶えているようで、手を叩きながら楽しそうに声を合わせて歌…

【慌ただしい午後に出逢った木】

2017年12月26日 珍しく早起きして、朝一番の時間にしか上映していない映画を観に行った。 出勤ラッシュから少しだけ遠のいた時間に電車に乗っていると、母を預けている施設から着信があった。下車して伝言を聞くと、母の義歯にトラブルがあったらし…

【病院・病院・また病院】

2017年12月25日 今月は、自分と母の付添いで病院へ来てばかり。 今日は、胸元に残った小さなケロイド痕治療のため大学病院へやってきた。治療にあたり、とても遠回りしてこの病院にたどり着いてから3年。 ──最初からここにめぐり合っていれば── と悔…

【プロジェクト歯科付添い】

2017年12月20日 午前中、病院にてインフルエンザ陰性判定を受けたあと、午後は予定通り、母を横浜の歯科医院まで連れていった。 施設から母を自家用車に乗せておよそ1時間。ますます身体の自由が効かなくなった母の引率は、想像以上の疲労を招く結果…

【La Jetée|ラ・ジュテ】

2017年12月19日 12月19日──。 亡き父の誕生日。存命であれば、たぶん今日で90歳を迎えていたはず。 気がつけばもう、生きていた時間よりも、不在の方がながくなっている。時間が忘れさせたというより以前に、生後8ヶ月のときに先立たれたぼくには、…