【筆は右手に、箸は左手に】
2017年7月27日
26時──。
時差を考慮した遅めの昼食?を。
作り置いたおかすを冷蔵庫から思いつくままに取り出し、冷凍済みの麦ごはんを解凍して着席。このところ、身体が酸味を欲しているようなので、米酢に和えていただくことにした。
嗚呼、ついまた左利きシフトで器を並べてしまった。こういう些細なズレが表面化しない負荷を左利きに与えている気がしてならない。
しかしどうして母は鉛筆は右に直してくれたのに、お箸は左のままにしたのだろう?
「ワタシ、左側の顔が好きなの(ニコ)」とデートに誘った女子に言われて右側に座り、肘をぶつけながら箸を突いたあの苦い記憶は…もう20余年前のこと…か?(遠い目)
──と、そんな無駄なことを思い出しつつも、今日も美味しいごはんがそばにある幸運に感謝を。
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【ゆっくり、ゆっくり】
2017年7月26日
復活へ向けて、松葉杖一本での歩行を開始。
しかし…まだ時期尚早だったかも──。
焦らず、ゆっくり、ゆっくり。
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【左手に乳母車、右手に・・・】
2017年7月25日
比較的楽に電車移動ができるようになってきたものの、未だ松葉杖生活が続いているある夜のこと。静まり返った都会の真んなかの駅で階段を登ろうとしていたとき、とても印象的な光景を目にした。
左手に乳母車、右手にお子さんを抱きかかえた状態で一気に駆け上がっていく母親のその様に、自分の母の姿を重ねた
──みなこうして育ててもらったんだな──
父が先立ち、京都から東京へ移り住むことを決めた母は、手続きのため、まだ幼かったぼくを抱えて何度も何度も往復していた。せっかく取った指定席も、ぐずりだすぼくをあやそうとほとんどを無駄にしたらしい
「あんたが泣き止まんからデッキに立ちっぱなしやったわ」
そんな風にして時おり昔を懐かしむように話してくれた。
晩年に差し掛かり少しずつこの浮世で背負った荷を下ろしていく母は、身体の不自由さとは対照的にとても自由に映る
──どんな気持ちなんだろう?──
化粧と毛染めを止めることも、オシャレをしなくなることも…オムツも施設に身を置くことも嫌がっていた母なのに…もう何も気にならない「ふり」をしてくれているのだろうか?
脳の機能が衰えても、子を守ろうとする母親の本能は、永遠に消え去ることはないのかもしれない。
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【自分の家族】
2017年7月25日
昨日、久しぶりに母の面会に行った。
受付時間終了間際にいったものだから、母はもうすっかりベッドに横になっていた。布団に包まり顔だけだして丸くなっている様子を見ると、なんだかとても可愛らしく見えた。食欲も出てきているらしく、二タ月前の入所時よりだいぶ表情も柔らかくなってきている。
顔を合わせるなりいつものセリフが飛び出した
「いやぁ、あんたが来てくれると嬉しい(関西弁のイントネーションで)」
「そんなことを言ってくれるのは今も母しかないからこちらも嬉しいよ」
と、ぼく──。
夫婦や家族、兄弟が話すことがなくなっていくのは、異なる時間を過ごしているからに他ならない。今の母と交わす話題と言ったら、体調を訊ねること、兄のこと、ケアプランについて…と、数少ない──。
絵に描いたように見事な甲斐性なしの放蕩息子は、ずっと実家に居座ってきた。そんなぼくに向かってこれぞ正論とばかりに
「自立しなさい」
と諭す、考えることのないまま生きてきたであろう非考の部外者に
「家族が一緒に暮らせること以上の幸せはありません」
と真理で応戦し続け、気づけば早いもので46年が経っている。
その時間は、ぼくと入れ替わるようにしてこの世を去った父と母が過ごした日々よりも遥かに永い。もしかすると、未だ巡り会うことのないぼくの支えより、ぼくは母と過ごす時間の方が長くなるのかもしれない。
持ち帰った洗濯ものを洗って仕上げるついでに、剥がれてきたアイロンプリントの名札を付け替える。
「家を守る」という務めが消えてなくなりそうなこの時代に、母が淡々とこなし続けてきたその役割の重みを身を以て味わう度、安心とはこうして気づかないほど自然なかたちで母が生み出してくれていたのだということを知る
「生まれた家族を失う恐怖を和らげるために、ひとは自分の家族を持つんだ」
いつか誰かが言っていたそんな言葉を、どういうわけだか、それからずっと憶えている。
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【早朝主夫ロマンティック】
2017年7月25日
今日は早朝主夫ロマンティックの日──。
土鍋を使った麦ごはんと蒸し鶏を作ってしまったものだから、相当長丁場の調理となってしまった(恐らく4〜5時間?)。
それでも、料理中に音楽を楽しめることを思うとこれも貴重な時間と言える
──母が隣室で寝静まる真夜中にやっていたころにはこんなことは叶わなかったから──
料理を終えると、同時に運転させていた洗濯がすっかり仕上がっていた。
さて、続いてアイロン掛け、かな?…ふぅ。
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