主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと。そして、それからのこと。

【起きてもいないことは考えない】

https://www.instagram.com/p/BTHJJX4j142/

2017年4月20日

 

母が入院する新病棟は、伸びやかな光が心地よく射し込んでくる。

 

見舞いに行く側にとっても…そんなことを考えるたび、10年以上前に関わらせてもらった特養老人ホームのための作品プランをしていたころを思い出す

 

入所者だけじゃなく、

働くスタッフのみなさん、

それから、見舞いにくるご家族の方が足を運びやすくなるように

 

そんな、プロデューサーの言葉がとても印象的だった。

 

いま振り返ると、あの頃の自分は、この4年の、介護者としての時間を想像さえしていなかったのだから、我ながら、呆れる。

 

制度上の入院期限が迫るも、次の段階に進む段取りは、なかなか進展がない。心臓の具合を見守りながらのリハビリは、1日3回の予定が、遂に1回にまで制限されている。

 

表情は元気そうだけれど、いつ何が起きてもおかしくない

 

──起きてもいないことは考えない──

 

そのための鍛錬をこの1年、積んできた。

 

あの闇に沈むのは、そのときを迎えてからでいい。

 

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【鶴、5色目】

https://www.instagram.com/p/BTHFAE5DiDX/2017年4月19日

 

鶴、5色目──。

 

そろそろ折り返しに近づいてきたのだろうか?

できたそばから吊るしていく方がよさそうな気がしてきたが、とにかくまずは無心で折り続けたい。

 

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【帰る場所があるから】

https://www.instagram.com/p/BS1QfuDDOu9/

2017年4月13日

 

「川瀬さんは人気ものですから」

 

──母のことである──

 

先日見舞った際、リハビリ担当者との会話のなかで、そんな一言があった。確かに母のリハビリの時間は、笑顔が絶えない。時折冗談をいったりおどけてみせたり…。はたから見ているとまったくリハビリに集中していないことに嘆息させられるばかり。そのせいもあって肝心の身体能力は年相応よりも少し早回しに衰え続けているが、こればかりはもう抗ってどうなるものでもない。

 

そして、昨夏処置を施した心臓の具合が、今になってまた少し悪化しているらしい。そのため、積極的なリハビリは控えられているという。1日3回が2回になったのは、そのせいもあるのだろう。

 

今夜も母を見舞って、話しをした。相変わらず自分の状態がよく把握できていないようだった

 

「家に帰れる」

「自分の身の回りのことができるようにならないと、無理だよね」

 

──そう伝えるのが精一杯だった。

 

これまでは

 

「家に帰りたいとアピールして、しっかりリハビリをやっていこう」

 

と繰り返し伝えてきたけれど、今夜からは目標を変えることにした。

 

「スタッフのみなさんを楽しませてあげようよ」

 

昭和一桁生まれの母は、幼いころバレエや声楽のレッスンを受けていて、叶うことならステージに立ちたいと願っていたらしい。

 

でも、時代も時代もである。自分から進んで「早く働きたい」と、就職する道を選んだ。

 

「やっとステージに立てたね(笑)」

「せやなぁ(笑)」

 

気の抜けないタフさが求められる医療の現場で、スタッフのみなさんをいっときでも和ませて差し上げられるのなら、それはきっと、母にしかできないことだから。

 

入院患者のなかには、色んな人がいる。それに一様に応えていかなければいけない業務は、想像を超えた厳しさがあるに違いない──

 

「だからさ、人気者の〇〇ばあさんが、にっこりさせてあげなよ」

「わたしは大阪生まれやからなぁ〜オモロいんかなぁ(笑)」

 

たとえもうここへ戻れなくても、帰る場所があるだけで、母はきっと安心して毎日を過ごすことができる。

 

もちろん、ここは母のためだけではなくて、ぼくにとっても大切な大切な、帰る場所だ。いつか母を無事に見送るまでは、何としても守り通したい。

 

あといつく、この桜を見上げることができるだろう?

 

──今年の桜にもまた、たくさんの記憶が宿っている。

 

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【爪切り】

https://www.instagram.com/p/BSv-x3fD4pT/

2017年4月11日

 

夜、母を見舞う──。

 

今日で母が入院してからちょうど3ヶ月。すっかり伸びきった手足の爪をカットするため病室へ向かった。

 

手の爪くらいは自分でできるかと思いきや、だいぶ危うい様子だったため、ぼくが切ることに。やすりがけもうまくいかず、丁寧に研いであげた

 

記憶にはもちろんないが、幼いころ、どれだけ母に爪を切ってもらったのだろうか?

 

今はようやく、ぼくの番、だね。

 

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【冷蔵庫の品書き】

https://www.instagram.com/p/BSg9nqgjS8m/

2017年4月6日

母の不在が続くなか、作り置きおかずの品書は必要ないのだけれど…
この習慣は続けていきたい。

 

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【お引越し】

https://www.instagram.com/p/BSbhopQjEUq/

2017年4月3日

 

かつて母の手を引いて歩いた臨時駐車場だった土地に新しい病棟が建設され、この春、予定通りオープンした。母が入院しているリハビリ病棟もすべて新棟に引越しとなり、今夜、その真新しい病室へ母を見舞いに向かった。

 

新しい病棟に引越ししたことが、少し把握できていない様子も見受けられたが、顔色は相変わらずよく元気そうにしていたので何よりだった。これまで通りの4人部屋ではあるが、リハビリ専門病棟ゆえか、各病室がとても広いため、見舞う側にとってもストレスが軽減された印象がある。各自が利用する車椅子をはじめとした器具をベッド脇に置いてもたっぷり余裕がある空間づくりがされているから、ケアするスタッフのみなさんにとってもやりやすそうだ。動ける患者さんが交流できるコミュニティスペースもこれまでとは比べ物にならないくらいに拡大されている。

 

それでも、ここにいられるのもあと一ト月。

 

調整をお願いしていた「次のこと」について、そろそろ具体的な話しが始まるころだろうか?

 

今年の桜もまた、記憶に深く刻まれるに違いない。

 

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