主夫ロマンティック

独身中年男子の介護録──母が授けてくれたこと

【真夏の或る日に】

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2018年7月22日

お伺いするのに、4年もの時間がかかってしまった。

かつて横浜みなとみらい地区にあった巨大シェアスタジオ=ハンマーヘッドスタジオ 新・港区の建築設計部(そんな名前の部署も部活も存在していたはずもないが)のみなさんが2014年に手掛けられた、東京・上野毛にあるフレンチレストラン「トワ・プティ・ルー」でランチをいただく。

お店の方には、会計時にスタジオのことを伝えるつもりだったが、オーダー前、テーブルでの客人との会話で「ハンマーヘッド」というワードが既にでていたので、マダムからお声掛けいただき、自然のその話題になった。

ランチコースは、お手軽な値段で前菜、メイン、デザートまでいただける。

夏の暑さを和らげてくれる冷凍スイカを入れたトマトの冷製スープを中心にした前菜──。
焼き上げた豚肉をトマトソースでトロける寸前まで煮込んだメイン──。
そして極め付けは、シェフの「おばあちゃんのレシピ」だという、バケットを使ったフレンチトースト(言うまでもなく現地ではそうは呼ばない)──。

いわゆる日本の食卓でも味わえるそれとはまったく次元が異なる味わいだった。オレンジのジャムが練りこまれていて。添えられた冷凍バナナやイチジクと合わせていただくと、酸味と甘味が抜群のバランスで味わえる。

美味しい料理を頬張りながら、スタジオの面々が手掛けた内装のこだわりなどを伺い、会話も弾んだ。


──日曜日の素敵な午後──


外に出ると、入店時には気づかなかった涼風が店前の路地を駆け抜けていた。


「ここはいい風が通るんですよ」


愛嬌の満点のマダムがそう教えてくれた。

この風に乗って、どこか思いもよらない明日にたどり着けたら…そんなことをふと感じた。


──えっ? 誰と行ったかって?──


もちろん、それは、ナイショ(ニコ)


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【カロリーアップしたクリームチーズのディップ】

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2018年7月20日

Zoneに入った──。

映画《ストーカー》のセリフではない。

クッキング・ハイである。こうなると、暴走が止まらない。

明るくなるまで、5〜6品作り出すようなことのないように、今夜は、クリームチーズのディップだけ作ることにした──しかも初めて──パルメザンチーズ、卵黄、大葉などを混ぜるだけのつもりだったが、どうもしっくりこない味にしかならない。

シナモン、パプリカ、バニラエッセンス…。


「そうだ! にんにくだよ!」


と思いついて入れてみるも、やはりピンと来ず…。

ナッツをクラッシュして混ぜ込む──食感は向上するが、いまいちときめかない。

旨味を入れたら解決しそうだが、粉末スープしか手元にない。


「アンチョビ…いや、ツナ缶でも美味しそう」


と気づいたところで、これは何を味わうためのディップだったのか? と、そっと我に帰った。


Zoneから遠のく──。


またパンを作ってしまいそうな予感…。いや、都合のいい言い訳を自ら拵えてしまった。


──イケナイ──


今夜たくさん作り置いた野菜に固めて味わえば、きっと美味しい。


そう言い聞かせて、今夜のZoneに別れを告げた。


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【遂に野菜を蒸し始める】

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2018年7月20日

真夜中に、ごそごそ台所で主夫ロマンティックに変身──。

夜更けに買物に出ると、普段あまり寄る機会のない業務スーパーのネオンサインが目に留まった。


──久しぶりに牛すじ煮込みでも作るか?──


冷凍食品をまとめ買いするにはとても便利な業務スーパー。今夜は牛すじ煮込み用の食材に加えて、そら豆、いんげん豆、ズッキーニ、ブロッコリー、パプリカを各500gパッケージで購入。別のマーケットで普段の買物を済ませて帰宅した後、明日からのために、早速、冷凍野菜の解凍に取り掛かった。

冷凍ものだから、下茹でされたものを凍らせているのだろうが、少しでも栄養を残した状態で頂こうと、先日から解凍する際は、蒸してみている。

フライパンに蒸し皿を乗せ、その上に耐熱皿とクッキングペーパーをセット──蒸すのが素晴らしいのは、栄養価の高い状態を保てることに加えて、何種類も連続して作業できることにあると感じている。冷凍野菜だから、解凍時間も短い。

早速、明日から使いそうなものを次々蒸しては解凍し、軽く冷水に晒したところで、ほんのりと潮を振った。塩茹でしたのと似た結果になる。もちろん塩は、天然塩。

思えば、我が家で食卓塩をみた記憶がほとんどない。母は、油もオリーブオイルを多用していた。実年齢よりも若く見られることが多いのは、そうした母の配慮が影響しているとも考えられる。


──これで、小腹が空いたらすぐにゆで野菜をもぐもぐできる──


ついでに、いつもは炒め物に使うキャベツの外葉も蒸してみた。


──キャベツの芯も薄くスライスして蒸してみる──


なるほど、芯にはキャベツの味が凝縮していて、実に濃い味わいだ。しかしだいぶ苦味が強い。それもまた、近頃では遠のきつつある味覚として楽しむことにしよう──こちらも、軽く塩を振りタッパーに入れて冷蔵保存した。

週3回のトレーニングを課してから一ト月。身体は徐々に変わりつつある。もちろん、変化を始めているのは、身体だけに限ったことではない。

何度も自ら乱してしまった静かな暮らしを、改めて取り戻そうとしている。そのために、今、すべてを変えるのだ──これから生きる、50年のために。


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【新のお盆2018】

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2018年7月16日

新のお盆が終わろうとしている。

母が東京に建てた墓のあるお寺さんでは、この時期、例年法要が行われている。広い仏殿で心を鎮めるのもいいが、どうもぼくは、こうしてひとりを選んでしまう質らしい。

京都で大家族の長男に嫁いで、日々のあらゆることをこなしてきた母は、主人の没後、東京に移ってからは自由な暮らしを求めた。年中行事の多い京都だけに、さぞ大変だったと昔はよく聞かされたものだ。仏壇も、命日だけしか開けられることがなかったのは、きっとそんな気忙しい日常から解き放たれたからに違いない。けれど、だからと言って、母が父のことを忘れていたかと言えば無論そうではない。


「たまに夢に出てくるんや」
「夢に出てくるくらいやから、やっぱり縁遠かったんやろか」


何かの昔話になったとき、何度かそう口にした母をよく憶えている。

父の命日が8月初旬なものだから、ぼく自身もこの時期に仏壇に向かうことはなかった。でも、母の特別養護老人ホーム入居が決まってこの家を出ることになってから、できる限り毎日、仏壇に向かうようにしてきた。

改めて仏壇を見つめると、実に立派だ。そんな立派な仏壇に、ぼくは粗相をしてしまったことがある。

子供のころ、家の中でボール遊びをしていたとき、弾みで仏壇に球が当たった。かなりの勢いで球がぶつかったあと、不穏な音が響き渡った──内側のガラスを割ってしまったのだ──あのときは、子供ながらに謝りようもない気持ちになって、母に素直に頭を下げた。そして、無言でお年玉を返上した。母は叱りつけるようなことはしなかったけれど、セロハンテープで割れたガラスを補修してくれた。


──壊れたものは、セロハンテープかガムテープで貼り付ける──


そんな時代だった。言うまでもなく、今もその跡は残っている。

仏壇の中には、正面に霊鑑が飾られている。父の命日に戒名が記された頁が開かれた状態で。

これまでも何度か目を通していたが、今日、新たな発見があった。

母が話してくれなかったことがある。


──母の両親がいつ亡くなったのか?──


訊ねても「忘れた」というばかりだった。

この霊鑑に、きちんと記されていた。父上は、ぼくが生まれる2年前の昭和43年、母上はその翌年の44年。お二人とも享年71歳と記されている。

昭和45年師走にぼくが誕生し、その明くる年、46年葉月に、父が逝った。

たとえ憶えていたとしても、口にはしたくない出来事の連続…。今になってようやく、母の気持ちを察することができたような気がした。

記憶が曖昧になってきても、昔のことは思い出せることがあるという。今年もまた、父の命日が近づいている。今の母がどんなことを語るのか? そっと耳を傾けたい。


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【この上なく誘惑に満ちた背徳の嗜み】

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2018年7月15日

これは祝福か? それとも呪いか?


──見事だ──


ビギナーズラックというよりも、これは、育まれた才能が開花してしまった瞬間というに相応しい出来栄えではないか?

出来立ての湯気が立ち込めるパンを頬張る──。

なぜだか、禁断の扉を開けてしまったような気がした──こうして人類は、数えきれないほどの「後戻りのできない選択」を繰り返してしまったのだろう。


──あまりにも誘惑に満ちている──


と、半ば冗談のように綴っているが、やはり同時に覚えたのは、生きることの喜び──この最初の一口の鮮烈な印象は、もう二度と味わえるものではないのだ。


──今、という瞬間が、もう戻って来ないのと同じように──


日々を生きる。


それが叶えられるほどの幸運は、他にない。


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【初めての食パン作り】

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2018年7月15日

暑い──。


──この天からの恵みを活かす術はないか?──


まわらない頭でそんなことをぼんやり思い浮かべていると、冴え渡るアイデアが浮かんだ。


──そうだ! パンを焼こう!──


といっても、焼いたことはない。

だが、随分前に、道具と材料を揃えてあった気がする。

食料庫を覗くと、奥の方に、使われない雰囲気漂う感じでしまわれていた。

買ったままの焼型には、レシピも付属している。ならば、早速…。

やはり買ったまま放置していたイーストと強力粉を混ぜて、塩、砂糖をレシピ通りに投入。バターはあいにく常備していないから、オリーブオイルで代用してみることにした。

…と、その前に、初めて使う焼型を空焼きしておかないと。

午後もゆるい時間から始めたこともあって、発酵は思ったようには進まなかった。でも、こねあがった生地をひとつまみして頬張ってみると、もう、十分すぎるほどに美味しい。

西陽を浴びて膨らんでいくたわわな生地を見守りながら、人類が生き延びるために、小麦を精製して、パンにまで仕上げる技術を発明した歴史を振り返ってみる──。


生きる。


今日、命がある──それだけで、素晴らしいことなのだと、改めて感じた。

さて、焼き上がりはどうなるのだろう?

少々不細工なくらいが、愛しいはず。

もう一回分、材料はあるから、上手に仕上げて、母にも食べさせてあげたい。

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【大人の野菜カルボナーラ】

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2018年7月11日

トレーニングを始めて、ますます摂取カロリーを気にする毎日を過ごしている。

何も、ガリガリを望んだりムキムキを目指したりしているしているわけではないが、せめてこの、長年に渡ってまとわりついた体脂肪とはおさらばしたい。願わくは、脂肪の減少に伴って、この無駄口も減ってくれたらいうことはないのだろう。


──そして、新しいぼくが生まれる──


何かのコピーのようだが、そんなわけも希望も、毛頭ない。


トレーニング前のエンジンに、久々にカルボナーラを作った。しかしカルボ〜というにはだいぶ亜流だ。

肉類はゼロ。その代わり、玉ねぎにピーマン、しめじというナポリタンに入れそうな野菜をたっぷり加え、さらに鉄分、葉酸、ビタミンE摂取を期待してストックしてあるほうれん草を投入。いつもどおり、たっぷり胡椒を効かせた大人の味付けに仕上げて頬張ると、ご無沙汰だったこともあり、そのあまりの美味しさにひとり唸ってしまった。


──炭水化物、万歳──


完全に脳に覚えこまされた味──。


さて、少し休んでトレーニングに出かける支度をしよう。およそ一ト月経過した今日から、加圧シャツを着て実行してみることにする。


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